7月16日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ州のソフトウェア業界が日本市場への売り込みに本腰を入れる。ブラジルの同業界は昨年三億ドルの輸出実績があるが、日本向けはわずか百万ドルだった。このためアメリカに次ぐ日本の市場開拓が急務となってきた。サンパウロ州工業連盟(FIESP)が今月実施した訪日ミッションにこの業界から八社が参加し、滞日中に関連会社五十社と突っ込んだ話し合いをした結果、日本市場に可能性ありとの感触をつかんだ。中には具体的に商談の前提条件を提示した会社もあった。
日本の業界は閉鎖的かつ規格が厳しい上に、言葉と習慣の違いが大きな壁として立ちはだかっている。日本市場への有力供給国である中国やインドでさえも、現在伸び悩みの状態が続いている。
業界では企業各社が個々に商談を進めても限度があるとして、現存三十社で共同販売体制(コンソーシアム)を結成することで合意に達した。先日第一回目の会合が開かれたが、その席上で日本市場開拓のために日系社会や企業とのコミュニケーションが必要との認識を高めたという。なかでも日系子弟の技術者、販売規格担当者の登用が重要との声が強まった。これを裏付けたのが、訪日ミッションに参加したBRQ社で、参加メンバーに日系重役およびマネジャーを加え、日本語で説明、商談を行ったのが受けて、日本企業から見積りを依頼された上、日本語を話せる社員を一年間日本に駐在させる条件ならば長期契約の話し合いに応じるという提示があったという。さらにカンピーナス市のソフトウェア・デザイン社は、サンパウロ市の日系企業の仲介によりわずか四〇日間で日本企業と契約できたが(通常一年以上も要する)、仲介した会社が信用されていたのが基となったと述懐する。
急成長を遂げたIT産業だが、中でも世界ナンバー2の市場を持つ日本への参入を目指した業界は活気づいている。販売は当面コンピューターのプログラムや使用者の専用コードの作成などだが、将来幅広い業種やサービスにビジネスが展開されることが期待されている。