在外選挙後記をもう一つ。在ポルトアレグレ総領事館は、同地で在外投票が始まって以来の投票数・投票率を記録した▼管内の選挙人登録者は百四十人、今回の投票者七十六人、投票率五四・三%、日本国内とほぼ同じだ。前回が二十九票だったから、大きく上回った▼理由は――ポルトアレグレ総領事館閉鎖反対運動が、在外投票に結び付いたからである。何の目的のために投票するか、動機次第で投票数、投票率が伸びるといういい例を見ることができた▼投票数大幅アップを支えたのはイボチ地区(イボチ移住地)の人々だった。バス一台を借り切って、総領事館の投票所に乗り付けた。投票を終え一安心した人たちの感想は「ひと汗掻きました」(南日伯援協ニュース)▼イボチ移住地は、戦後JICAによって造成された最も新しい移住地の一つだ。一世が高齢ながら健在であることがわかる。平穏な生活にいい意味で〃埋没〃し、総領事館閉鎖などという大問題が持ち上がらなければ、日本の選挙(在外投票)にどの程度の関心が示されたかわからない。日常、総領事館に出掛ける、などほとんどないであろう▼現実についていうと、ポルトアレグレでの絶対票数が、日本政府、あるいは諸政党が目をむくくらい多ければ、閉鎖問題に衝撃を与え、再検討の余地も生まれるだろうに、と思う▼ただ選挙とは関係なく、将来、同地から総領事館が無くなったら、一世の子孫や非日系人たちが、どれほど不自由するか、察して余りがある。(神)
04/07/16