ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 「新酒は新しい革袋に」=農業大国に向け構造改革を=後手に回る衛生対策

「新酒は新しい革袋に」=農業大国に向け構造改革を=後手に回る衛生対策

7月21日(水)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】ロベルト・ロドリゲス農相はブラジル農業の近代化に伴い、国際市場の動向や景気予測を分析する政府機関の設置と将来の農業政策について次のように抱負を語った。
 口啼疫や豚ペストで学んだ教訓がある。ブラジルは六大農産物ばかりでなく綿やバイオディーゼルでも、国際市場で有力な供給国となるから衛生対策で風当たりは強くなる。当国の潜在能力を恐れて問題を針小棒大にして騒ぎ、市場からブラジルを排除する動きは覚悟すること。価格と品質では、他の追随を許さない体制を作る必要がある。
 国際市場では関税障壁よりも、衛生関係の関税外障壁がネックになっている。衛生管理では飼育環境や飼料作物、人材、研究設備などで投資の必要が叫ばれている。ブラジルの泣き所だ。
 パラー州でBSE(狂牛病)が発見された。農務省は以前から衛生対策のために六千八百万レアルの資金交付を要請していたが、BSEが起きてから大統領命令で、やっと四千四百万レアルが支出された。大統領も衛生問題の重要さを熟知してはいるが、ブラジルは、さらに対応がのろく、後手に回っている。
 南米大陸から口啼疫を駆逐する対策案を、同相は大統領に進言した。牛一頭当たり〇・七〇セントの対策費を、牧畜家と州政府で共同出資してもらう。南米大陸の首脳会議で、同案は話し合われる予定。大統領は乗り気であり、予算の割り当てにも積極的に協力するとみられる。
 ブラジルの農業は過去数年間、政府の予想以上に成長した。農業政策は最早、現状に即していない。官僚の考え方が時代遅れで、農業発展の足手まといになっている。官僚は、時代の動きに敏感な反応をするべきだ。省庁の組織が、複雑過ぎる。特に対外交渉の分野は、敏速な対応のために構造改革が必要と同相は強調した。
 対ロシアの牛肉問題や対中国の大豆問題など、ブラジルの外交官は、対応がのろくて交渉が拙劣だった。もっと優秀な外交官を養成するか人材を探すべき。これからも衛生にまつわる問題は、ひんぱんに起こる。ブラジルは多国間と数々の協定があり、早急な協定の見直しが迫られている。
 省庁の長官、次官の移動や局の合併も必要。農務省の場合、生産と販売、政策の三局に絞り、業務の能率化を図る必要がある。現在はコーヒーや砂糖、アルコールとそれぞれの族議員がいる。作物別の政策が立案され、バラバラでまとまりがない。これを三局にまとめ、農業政策の一本化を行うことだ。