7月22日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】渋滞で車が停まっている時に助手席の窓ガラスを割って所持品を奪って逃げ去る強盗が増加している。とくにサンパウロ市内の交通の要とされるヴィンテ・トレース・デ・マイオ大通りが新たな犯罪スポットとなっている。
強盗は夕方から夜にかけてのラッシュアワーに多く、市内中心部に向かう車がよく狙われ、とくに一人乗りの女性が運転する車に被害が多い。当局によると犯人らは渋滞で車がノロノロ運転をしている間〃標的〃を見つけ出しては犯行に及ぶという。女性が狙われるのはハンドバッグや買い物袋を助手席においている場合が大半で、しかも奪った後に追いかけてこない(あるいはハイヒールのため追いかけられない)ため、安心して〃仕事〃に専念できるからとみられている。このため犯罪後、犯人は悠々と車の行列の間を縫いながら立ち去る。
このほか、コンゴニーニャス空港で降りたった乗客を空港内で物色し、後をつけて渋滞に巻き込まれた時点で襲う手口も増えている。この一味はオートバイ・ギャング団と呼ばれ、二人乗りで行動し武器を携行している危険分子とのこと。
この種の犯罪では被害届が実数よりも少ない。これに対し警察当局は、市内では被害届や検挙数の多い所から取り締まりが強化されていく仕組みとなっているため、泣き寝入りしていてはいつまでもらちがあかないと助言している。いっぽうで窓ガラスを壊される被害が増えたことから保険会社ではこの種の保険を契約条項に盛り込んだところ、現在六〇%の加盟者が加入し、新たなセールスポイントとなったという。
同大通りで被害にあった女性によると、仕事帰りで疲れているところに渋滞でイライラしていたため助手席に近寄った犯人に気がつかず、アッという間にガラスを割られハンドバッグを持ち去られたという。幸いに後続の車の男性が犯人を追いかけ所持品は取り戻したが犯人は逃走した。犯人は武器を所持していなかったが片手にガラスを割るための鉄片を持ち布で手を巻いていたとの事で常習犯とみられている。別の女性は被害にあってから助手席に犬のふくらました人形を置いている。これで「悪人が本物の犬と思ってくれれば」といたずらっぽく笑った。
防弾ガラスを販売している会社は、最近とみに需要が増えたことから顧客に犯罪対策を助言している。それによると女性の被害者が多いのは助手席に物を置くほか、運転中に(特に渋滞では)携帯電話で話し油断しているからだという。しかし肝心なのは「絶対にその場で抵抗しないこと」を心掛けるべきとしている。