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政府要人の情報を極秘入手=ブラジルテレコム 具志堅長官も標的=ライバル社内偵の巻き添えに=Eメールの盗み読み

7月23日(金)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】グシケン広報長官を始めとする政府要人が民間調査会社によって内偵されていたことが二十一日、明らかにされた。クロール・エージェントはブラジル・テレコムの依頼で、政府要人らの預金口座や連絡内容、日程行動についての情報を遂次入手していた。ブラジル・テレコムは銀行家ダニエル・ダンタス氏の経営するオッパーチゥーニティーの傘下にある。表向きの理由は、イタリア・テレコムの内偵だったという。

 調査能力で世界的な定評があるクロール・エージェントは、ルーラ大統領の政府要人のEメールに秘密裏にアクセスしていたことが、同社の秘密文書で判明した。内偵依頼者はブラジル・テレコムのカルラ・シッコ社長で、公正取引委員会(CADE)で係争中のライバル、イタリア・テレコムの内偵が目的だったとされる。
 企業間の国際係争に、グシケン長官を始めとするPT政権の政府要人とPTと関係を持つ地方自治体が、巻き添えを食ったらしい。同長官のEメールは長官就任以前から、PT政権の重要人物と見なされ長期間にわたり盗み読まれていたようだ。
 特に同長官と連絡を交わしたオッパチューニティーの元共営者で、現在はブラジル・テレコムのライバル社へ寝返ったルイス・R・デマルコ氏の足跡を、クロールは追跡していた。
Eメールには同長官が、デマルコ氏と社会保障院の件で衝突したことや、PT支持を引き換えに証券取引委員会(CVM)で便宜を図った記録などが残されている。同長官は同二件の事実を認めたが、便宜の違法性については否定した。同秘密文書によりクロールの活動が、卑劣な違法行為として露呈した。
 その他クロールには前政権の伯銀総裁カシオ・カセブ氏が、ライバルのイタリア・テレコムに内通して外国で同社との秘密交渉に立ち会った盗聴記録もある。現政権になって〇三年五月、同元総裁はリスボンのリッツ・ホテルでイタリア・テレコム幹部と会合、ダンタス氏の失脚に向け策略を練った。同元総裁の口座には、同社から謝礼金が振り込まれている。
 ブラジル・テレコムが大株主の遺族年金基金五団体の株を買い上げ、ダンタス氏を基金から追放する工作に同元総裁が一役買ったようだ。同元総裁とグシケン長官との関係は、ルーラ政権の政策シナリオに沿って築かれたと推察される。
 テレコム関係の醜聞は、前政権時代の九八年に行われたテレコム民営化にさかのぼる。現在は裁判所を舞台にブラジル・テレコムとイタリア・テレコムとの血を血で洗う泥試合が行われている。
 政府は背後で暗躍するクロールの存在を、パルマラット乳業とイタリア・テレコムとの違法取引捜査で知った。連邦警察の盗聴記録にクロールの隠密活動が浮上したからだ。
 連警はクロールの暗躍を「東京コネクション」と命名した。グシケン長官が、日系人であるかららしい。
クロールの内偵では、イタリア・テレコムから政治献金が、大量にPT関係者に流れているというのだ。