7月23日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】サンパウロ市当局は市内再生プランに基づき各地域でプロジェクトを実施中だが、レプブリカ、セーなどいわゆるセントロ(中心区)の再開発に本腰を入れることになった。
市が建設予定の、入居数が四、五〇〇戸の大衆向けマンションのほか、業者が昨年認可を受けた、マンション用高層ビルの着工が同地区の五十カ所で始まる。完成は四年以内の見通し。これに伴い喧噪や治安の悪化に嫌気がさして他地区に引っ越した〃元住民〃がノスタルジーにかられて戻ってきている。いっぽうで錆びれ果てた往年の商店街も復活し始めており、市の再生プランは軌道に乗る様相を見せている。
四十年前は、タクシーに乗り「セントロ」と告げるだけでイピランガ大通りとサン・ジョアン大通りの角もしくはレプブリカ公園脇で停車したほどだった。界隈には高級ホテル、映画館、高級衣料品店、宝飾店のほか、夜になるとレストラン、ナイトクラブのネオンが軒を並べ不夜城の様相を呈した。これに伴い治安が悪化したことで住民は他地区へと移動を始め、一九八〇年から二〇〇〇年にかけて地区の人口は三〇%減少した。また娯楽施設が各地区に分散し、ショッピング・センターが随所に建築オープンしたため、「往年のセントロ」は目に見えて衰亡、建物は閉鎖され、二度と開くことはなかった。中にはシンガで入口を封鎖している所もある。
市では、この地区に大衆住宅の建設を決定すると共に、住居ビル建設を公募し、昨年は五十棟に建設許可を与えた。いっぽうでこの工事に要する融資資金を米州開発銀行(BID)から借り入れることで合意に達し、六月に三億レアルの調印を行った。
すでに改装を終えたマンションは六万レアルから十八万レアルで売り出され、年金生活者が生活している。これら中流層はローンに頼ることなく即金払いで入居している。いっぽうで当局も地域の治安を強化しているため住民は安心して若き日の思い出に浸ったり、最寄りの市立劇場などを散策している。
これに伴い商店街も復活しつつあり、セッテ・デ・アブリル通り、アロウシェ広場などレプブリカ公園脇の街路ならびにセー地区のジレイタ通り(かつては買い物客で身動きが出来ぬ程で、サンパウロ市内の腕自慢のスリが技を競い合った)などが活気を取り戻してきている。