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後を絶たないカード犯罪=被害総額7千万レアル=見過ごせば利用者の実損に=コスト高で技術面対応遅れ

7月23日(金)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】クレジットカードはその便利さ、手軽さが受けて世界的に普及している。その反面カードを悪用した犯罪も後を絶たない。カード犯罪だけに、悪用する側と阻止する側の頭脳戦が連日続いているのが現状だ。ブラジルでも九〇年代に入って犯罪防止策の研究が技術面で進められているが、コスト面からシステム改善に踏み切れないという壁が立ちはだかっている。ブラジルでは消費者擁護の名目でこの種の犯罪では利用者の被害は補償されるため実害はないものの、気づかずに見過ごすケースも多々ある。犯罪防止は個々の日頃の注意が肝要だと関係筋は警鐘を鳴らしている。

 買い物をした覚えがないのにカードの請求書が届く。誰もが一度は経験がある筈だ。カードの利用明細をチェックする人はすぐに気がつくが、そうでない場合は見過ごして請求通りの金額が口座から引き落とされることになる。これが犯罪者のつけ目となる。金額が小口になるほどこの種の被害は増える。銀行はカード利用者の買い物習慣や金額をチェックし、異常に気がついた場合のみ事前に顧客に問い合わせするのが唯一の犯罪防止手段となっている。カードの悪用は法令により銀行が補償しなければならないので、この事前問い合わせは言い換えれば銀行の防衛手段だが、誰も気がつかなければ顧客の実損となる。
 カード会社では偽造や悪用を防止できる「スマート・カード」と呼ばれる特殊カードを開発している。これはデータを織り込んだ〃チップ〃をカードに挿入し、これがコンピューターの役割りを果たすというもの。業界では二〇〇五年をもってこのカードを一新したいとしている。しかしコストが現行カードの〇・六〇レアルに対し新カードは六レアルになることが壁となっている。このカードは種々のデータをプログラムできるため、ヨーロッパでは実用化されているが、南米大陸ではまだ実験段階。
 このため関係筋は、被害防止は本人の注意しか無いとして次の点を徹底するよう呼びかけている。
▼カードの紛失、盗難はカード会社の対応センターにすぐ連絡した上で、必ず届出番号を確認する。
▼誰にもカードを貸さない。
▼カードと暗誦番号を同じ場所に保管したり、持ち歩いたりしない。
▼自分の生年月日を暗誦番号にしない。
▼定期的に暗誦番号を変える。
▼人目につくコンピューターで残高照会や公衆の前で買い物をしてカードのデータを入力しない。
▼銀行でカードを使用する際、他人の助力を借りない。
▼カード使用で機器類などにトラブルが生じた場合、一旦その場を離れて銀行に照会する。
▼カードで支払う場合、記入書類の明細をチェックすると同時にカードをいつも視野に入れておく。
 これら注意点のなかで生年月日は、これまでの調査によると暗誦番号を忘れないための手っ取り早い番号となっている。そのため他人に生年月日を気軽に話すと犯罪の被害にあう原因となる。このほか、銀行での現金自動引き出し機の順番待ちの距離が近すぎてデータが読まれ易いとの苦情もでている。
 関係当局によると昨年のカードによる被害総額は七千万レアル相当で、全利用額〇・一五%を占めるとのこと。このうち二%はインターネットによる犯罪だという。