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コロニアの〃生き字引〃死去=秋山桃水さん憩の園でひっそり

7月23日(金)

  秋山桃水さん(ブラジル東京銀行元庶務課長)が去る五月二十六日、憩の園でひっそり亡くなっていた。コロニアの生き字引のような人、進出日本企業とコロニアの付き合いの仲介役をしてくれた人をまた一人失った。九十二歳だった。
 救済会によると、秋山さんは、脳梗塞の後遺症が残る身体で、九九年三月、憩の園に入った。心臓も丈夫ではなかった。死去当日、午前中、園内を車椅子で散歩、アルモッソ後、午睡をしていたが、そのまま目を覚まさなかった。
 一一年大阪府生まれ、東京国士館高等拓殖学校卒業、三一年、第一回高拓実習生として初渡伯、パリンチンス訓練所へ。のち在リオ日本大使館商務官助手をつとめた。四二年帰日。日伯中央協会事務長、サンパウロ四百年祭日本側委員を経て、五五年再渡伯、東京銀行サンパウロ支店(のちブラジル東京銀行)再開店の露払い的役割を果たした。開店後勤務四十二年間。ブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)草創期から活動に関与、評議員。
 ひょうひょうとして、穏やかな人柄。日本進出企業とコロニアの橋渡しとして、貢献が大きかった。山本喜誉司・文協初代会長と家族同様の付き合いがあり、秋山さんの遺体は山本氏の孫が引き取り、カンピーナスにある山本家の墓に埋葬した。