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奔放な抽象画で圧倒=サンパウロ出身、日本で活躍=森一浩さん個展好評

7月23日(金)

  【東京支社】六月二十九日から東京・日本橋の「ちばぎんアートギャラリー」で開催された、ブラジル・サンパウロ出身の森一浩展が好評のうちに七月九日に終了した。
 縦二メートル、横四メートルの「赤いサンパウロ」と題した作品をはじめ、白と茶系を主としたダイナミックな抽象画に圧倒された。鹿児島県坊津出身で大正移民の父と、同県枕崎市出身で明治移民である祖母をもつ母のもとに一九四九年にサンパウロで生まれた。六歳のとき母方の枕崎に帰り、地元の高校を卒業後、東京芸術大学に進み、同大学博士課程修了。
 安宅賞・大橋賞、修了作品買い上げ。安井賞展、神奈川県記念美術展・準大賞、風の芸術展・大賞、小磯良平展などに出品。
 「七、八年前になるでしょうか、生まれ故郷であるブラジルに行きました。長い船旅で毎日、見続けた水平線は私に大きな影響を与えました」
 サンパウロ市近郊イタペセリカ・ダ・セーラ市のおばの家に身を寄せた。
 そして画家の故間部学氏、若林和夫氏らとの知遇を得た。ブラジルの大地と大自然は森氏の魂を大きく揺さぶった。
 「ブラジルに行くことによって自分の作品、東洋の文化というものがより鮮明になった。ブラジル生まれの自分の中に流れる血も認識しました」
 現在は日本とブラジルを往来して活動。ブラジルのアトリエではサンパウロ州立ピナコテカ(絵画館)での個展に向け制作中である。また日本においては十二月に東京・表参道の色彩美術館で個展を開く。