7月24日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】サンパウロ市内のフェベン(少年院と少年刑務所の合体施設)からの脱走者が急増しており、本年は昨年の倍増の様相を呈している。さらに今月に入り職員のストライキが続いているため警備が手薄となり、暴動や脱走が相次いでいる。
州当局はこれまで職員が脱走に便宜を図っていると指摘してきたが、今回のストライキでの話し合いが不調に終わっていることから、職員が交渉を有利に導くために騒ぎを大きくさせているのではとの見方を示している。これに対し職員組合は、州当局が対策を怠っていることを棚に上げていると反発、現に話し合いの場につこうともしないと非難している。
少年院には昨年千二百人が収容されたが、これは一日換算で四十五人から五十人に相当する。いっぽうで釈放されるのが四十人。人道擁護団体は、施設が超満員の現状を踏まえ、計一万二千人を収容する施設をさらに六カ所新設する必要があるとしている。加えて収容者への教育と更正施設が不可欠で、現在収容されている収容者の中には読み書きは勿論のこと、自分の名前すら書けない者が多数いるという。出所後一年間を追跡した結果、二百人が殺害され、その他ほとんどが同じ罪を犯してフェベンに戻ってきたという報告もある。
フェベンからの脱走者数は二〇〇〇年に過去最高を記録した。当時最大規模のイミングランテ収容所は、超満員の状況に警備が行き届かず、年間三百三十四件の脱走事件が発生し、千百七十七人が脱走した。一日当たり三・二人となる。〇一年と〇二年はイミングランテ収容所が解体され、新設収容所で設備も整ったため、発生件数は六十五件(脱走者百二十二人)、四十七件(百三人)と減少した。
しかし、〇三年に入って脱走事件は〃復活〃し、六十五件六百六十五人(一日当たり一・八人)と増加、今年はさらに拍車がかかり、七月二十日時点で三十七件、脱走者五百四十九人(一日当たり二・七人)となった。先週のみでフランコ・ダ・ロッシャ収容所(最新の設備)から二回にわたり二十一人、二十九人が脱走、このうちわずか七人しか拘束されていない。ただ二人は逃げたものの空腹と折からの寒気に耐えられず収容所に戻ってきたという。この脱走はいずれも無血で、正門から出ていったため内部関係者の手引きがあったとみられている。