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政府要人内偵 M16元職員が総指揮=調査会社職員が供述=ライバル社に内情を暴露=情報収集、リオ地裁に及ぶ

7月27日(火)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十六日】連邦警察は二十五日、ブラジル・テレコムの依頼で電信電話業界の情報収集を行っていたクロール調査会社の総指揮を執っていたのは、英諜報機関M16の元職員ビル・ウイリアム氏であると発表した。同社調査部員のポルトガル人チアゴ・ヴェルジアル容疑者が二十四日、リオデジャネイロ市で政府職員の活動を違法内偵していたことで逮捕された。

 M16元職員は、「東京コネクション」を含む電信電話業界に関する国際情報収集活動の総元締めだ。連警の報告によれば、親会社オッパチューニティーのダンタス社長が五年前、イタリア・テレコムの内偵をクロールに依頼するようブラジル・テレコムに指示した。クロールはブラジルとイタリアの政府高官を内偵し、情報を収集するためM16元職員を起用した。
 クロールの存在が判明したのは、パルマラット乳業の破産を捜査していた連警が背後で暗躍する同社を不審とみなしたことからだ。連警は三月からクロールについて、違法行為の確認と情報の機密度、テレコム・イタリアとテレコム・ブラジルの企業間係争が通信業界へ及ぼす影響などを捜査していた。
 連警の報告では、すでに情報収集のための政府職員の買収と違法盗聴、Eメールへの違法アクセスなどの事実が確認された。バストス法相は記者会見で、内偵活動は企業間係争をめぐって行われ、政治活動には触れていないと、連警の発表とは一線を隔した。
 クロールは、リオ地方裁判所で扱われて訴訟書類が不正に操作されていたことなど、司法関係についても情報を収集していた。特に遺族年金基金とイタリア・テレコムに関する訴訟手続きの進行状況をオッパチューニティーへ報告すること。政府関係では、グシケン長官やカセブ伯銀総裁らと同基金やイタリア・テレコムとの連絡の内偵だった。
 逮捕されたヴェルジアル容疑者は、Eメールなどで得た情報をクロールに渡し報酬を得ていたと供述した。連警が情報ファイルを押収した時は、目ぼしいものが消去された後だった。同容疑者は七月にクロールを解雇され、イタリア・テレコムに就職を試みた。
 同容疑者は内偵がダンタス社長とブラジル・テレコムのシッコ社長の命令だとして、盗聴するべき電話番号や口座の暗証番号などを提示されたことをイタリア・テレコムの面接で暴露した。イタリア・テレコムは、面接のやりとりを録音して連警へ送付した。連警は同容疑者が犯罪組織の構築、贈賄、人権侵害、極秘書類の入手などの余罪があるとみている。
 ブラジル弁護士協会(OAB)のライムンド・ブリット会長は、クロールが入手した情報に不正行為の疑惑がある司法官の更迭を求める声明を発表した。OABは司法官による一民間企業への便宜供与は司法府の尊厳を傷つけ、公務執行上の重大な誤りであり、司法府の尊厳を傷つけたとした。