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不足する血圧降下剤=現状認識甘い保健省=高血圧の治療体制不十分

7月27日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ブラジルで病死の原因のトップは心臓発作で、二〇〇一年の統計によると二十六万三千人がこれにより死亡、病死全体の三一・九%を占めた。次いでガンが十二万五千二百人で一五・二%を占めている。
 心臓疾患の二大要因は糖尿病と高血圧だが、両方とも現代医学では治療法が見つからず、症状緩和剤あるいは血圧降下剤といった薬で病気を制御しているに過ぎない。糖尿病は薬品の研究が進み効用の高いものが汎用されているが、いっぽうの高血圧の薬は昔と変わらず、しかも薬品不足となっている。推定では患者の二〇%以下に対してしか投薬療法が行われておらず、治療体制が不十分であることを保健省は明らかにした。
 保健省は正確な患者数を把握していないが、患者数は推定一千二百万人とみられる。このうち公立保健所に登録されているのは七百七十万人で、抑制剤を受け取っているのはわずか二百七十九万人のみという。保健省配給の医薬品はこれで頭打ちだという。この他の患者は家族健康プランで配給しているはずだと、同省は現状を把握していない。同プランによると二〇〇三年に四百三十五万人だけに配給されたという。
 この薬品は保健省が処方を決定し、州や市が調合するため数に制限があるという。州や市の保健局は調合を数多くするために処方の変更や医薬品の増量を具申しているが、何ら対応がないという。これに対し同省では、本年の予算には血圧降下剤七百七十万人分、糖尿病用の薬二百六十万人分を計上しており、金額で五四%、数量で六三%増だと強調している。しかし、患者の間では薬不足を訴える声が圧倒的で、保健所の在庫はゼロだという。ある患者は家族総出で各地域の保健所を捜し回ったが見つからず、かといって一箱三十八レアルの市販薬は手が出ず、薬を飲まない日が続くと話している。これに対し医師は、継続使用が不可欠で中断するのは危険と警告している。
 医薬品に限らず、保健所の医療体制に過去二十年間改善の余地が見られないとの批判に応えるため、保健省は昨年二千二十四人の専門医を採用した。この数は〇一年と〇二年の合計二千七十五人の倍だとして、決して手抜きはしていないとの見解を保健省は示した。