7月28日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】メルカダンテ上議は、インフレ目標率の設定で、政府首脳部と意見を異にした。原油の高騰、米公定歩合の引き上げ、中国経済の減速化など不確定要因に取り巻かれる世界情勢の中、達成不可能なインフレ目標を設定するのは無意味だという。
同上議は、融通が効く柔軟性のある通貨政策を訴えた。経済学者の多い上院では、現行の経済政策で多数派の支持を得ることが困難であると訴えた。同上議は上院の連立与党による政治工作の進行状況を、次のように説明した。
【最低賃金】上院には二十二人の元閣僚と十五人の元州知事がいる。下院よりも、老練の政治家が多い。政治工作や説得は、一筋縄では行かない。ビンゴ廃止の暫定令と最低賃金二百六十レアルが上院で否決されたのは、そのためだ。
高齢者は六十五歳以上なら誰でも、年金として一最低賃金以上を受給できる。年金制度により高齢の貧困者は少数となった。十四歳以下の児童は一人当たり二十レアルを受け取る生活扶助金が設定された。児童の通学が保障され、本人の意欲次第でブラジルの未来が約束されるのはよい。
【雇用創出】十四歳以上二十歳未満の若年層を保護する法令がないため、この年齢層にとって最低賃金は切実な問題だ。幸い政府の努力が実り、工業は五%成長、農業は六・四%成長が見込まれている。サービス業も活気を呈し、土木建築も政府の肝入りで動き出す。道路工事や上下水道、庶民住宅建設などで、〇四年は〇三年の三倍の公共投資が見込まれている。
【経済成長】政権引き継ぎ後十八カ月が経過し、試行錯誤の末ようやく政策の歯がかみ合った。当初は不手際もあった。会社更生法や司法制度改革、IT法、バイオ法など一連の改革は確実に実施の見通し。
官民合同プロジェクトは、入札法で山場を迎えた。同プロジェクトへの参加は、民間企業にとって利権がからむからだ。政府案は最低価格から競り上げるか、二者談合方式をとるか検討中となっている。
民間企業は、入札価格の指し値一覧表を求めている。政府は利権を、屋台の叩き売りにしない方針だ。第二は、契約終了時の工事に伴って建設された付帯設備に対する保障。終了時に取り残される設備に対し、参加した民間企業は政府の買い取りによる補償を求めている。第三は官民のどちらが、どんな形式で金融リスクを負うかのネックが決着していない。