7月29日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】サンパウロ州商業連盟(Fecom)は二十七日、雇用と所得の増加に伴って消費市場に活気が戻り、各種指標に経済の好循環が表れていると報告した。消費の寒暖計である大サンパウロ市圏のスーパーの六月売上は、昨年同月比で一一・〇二%増と飛躍的に伸び、過去十四カ月間の最高記録となった。定期監査のため訪伯中の国際通貨基金(IMF)ミッションは、ブラジル経済の回復を確認し、公共投資優先分野の限定と資金回収、社会インフラの整備に尽力するよう指示した。
スーパーの売上増については、冷蔵庫やガスレンジ、コンピューターなど耐久消費財のローンによる販売も、消費意欲に拍車を掛けている。スーパー・ダヴォーは、特に低所得層地域のスーパーで食品を始めとする商品で売上が伸び、経済の回復が実感できると喜んでいる。
同スーパーは低所得層が集中するサンパウロ市東部に大型スーパーを二店舗、スーパー五店舗を有する。六月の売上は前月比で八%増、昨年同月比で五%増であった。消費の伸びが顕著だったのは、非加工食品と清掃用品で一一%増。特記されるのは低所得層が銘柄品を買い始めたことで、所得の循環が行われていると同スーパーはみている。
イタイン・パウリスタやヴィラ・サンジョゼなどの庶民階級が多い地域に出店しているソンダは六月下旬、低所得層による食品購入の伸びに驚いた。六月の食品売上は、昨年同月比で一七%増もあった。六月の総売り上げは昨年同月比一三%、〇四年上半期は昨年同期比で二〇%の増加となった。
食品加工協会は、乳幼児用の離乳食品を景気の尺度としている。同品は高額で、経済的にゆとりがないと購入できない商品だ。それが六月の出荷は昨年同月比で五〇%増と急増し、所得の回復が伺える。
IMFミッションの訪問は対伯融資の契約更新後三度目となるが、ブラジル経済が確実に回復したのを実感すると語った。見通しも非常に明るいと、財務省スタッフに感想を述べた。
同ミッションは、上下水道や庶民住宅など社会インフラ整備の責任者ドゥットラ都市計画相とも会談した。都市計画相は経済も回復しつつあることから、社会インフラ整備の資金二百億レアルを捻出するため、公共投資資金の経理処理見直しを求めた。
IMFは見直しを検討するが、前提条件として経済回復と同時に優先部門の限定と資金の堅実な回収法の提示を要求。低所得層向けの社会インフラ整備で、資金の確実な回収を立案できることは必須条件という。しかし、IMFは回収案の具体化には立ち入らなかった。
政府は経済の回復を機に、産業インフラと社会インフラの整備を急いでいる。都市計画相は景気の低迷で停止状態にあった時限爆弾でもある社会問題解決に、チャンス到来とみている。経済が活性化したことで官民合同プロジェクトに、政府も資金を捻出する必要がある。この機に及び宿願の計画実現に、政府は起死回生を賭けているようだ。