8月3日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二日】誘拐事件は相変わらず後を絶たず、サンパウロ市内では今年第2四半期でも昨年同期比一六%以上の件数の増加が記録された。このうち半数は近年流行の稲妻誘拐(セクエストロ・レランパゴ)と呼ばれるもので、残りは依然として従来通りのやり方、つまり誘拐して監禁し、家族に身代金を要求する営利誘拐となっている。
今年に入り誘拐の標的(拉致被害者)が学生ら若者に絞られている。統計によるとこれは全体の二五%を占め、被害者の親はとにかく無事に解放するため犯人の言いなりになり、手持ちの現金が無ければ借金してでも身代金を用意する。このように手っ取り早く金になるというのが犯人のつけ目だ。さらに若者たちは警備に無頓着で犯行がし易いという。また犯人らは家族と電話で交渉する際に家庭内の事情に詳しく、家族は事前に調査されたと不安に陥るが、実は犯人らが拉致被害者から強引に聞き出していることも明らかになった。
サンパウロ州治安当局によると、今年上半期の営利誘拐事件は百二十九件で昨年同期比一三・七%増、サンパウロ市内は一六・六%増となり、このうち六十件が身代金要求の誘拐だった(残りは稲妻誘拐)。このうち拉致被害者の二五%が学生で、商店主一六%、会社経営者一一・一%、セールスマン五・五%を大きく引き離した。そのほとんどは自家用車保有者で、誘拐犯は車種や身なりを見て標的にする。犯行現場は信号待ちやショピングの駐車場などで、複数で取り囲んで誘拐するという。被害者の男女比率は六二・六%対三七・四%。年令別では十七歳までが一六%、十八から二十五歳までが二〇%で三十六名となっている。
最近の傾向として犯人も若者が多く、未成年者も含まれる。このため身代金要求の交渉も異なる。ある被害者の家族は当初五万レアルを要求されたが、短時間の交渉で五千レアルに下がり最終的に三千四百レアルで合意した。その代わり若者に人気のあるラップトップ型コンピューターを要求されたという。被害者の父親は手持ちが無かったので知人から借り、新品同様に磨き上げて引渡したという。
さらに統計によると、誘拐発生は何故か水曜日に多く三〇%となっている。次いで木曜日の一七%。低いのは土曜日の八%で日曜日は一〇%。時間帯は午後六時~十二時が四八・二%と半数を占めている。サンパウロ市内で被害が多いのは東部地区で五〇%、次いで南部二八・六%、西部一〇・七%、北部一〇%、中心部三・六%となっている。