8月4日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】ブラジルで警官が犯罪の犠牲により十七時間に一人の割合で死亡している。最も多いのがリオ州で、サンパウロ州、バイア州があとに続いている。死亡率はアメリカの三倍で、いかに凶悪犯罪が多発しているかを物語っている。さらに犠牲者の半数以上が職務以外のアルバイト先で死亡している事実から、警官は副業をしなければ生計が成り立たないという待遇面の問題が浮き彫りとなった。
フォーリャ紙が関係機関の統計をとりまとめたところによると、全国二十六州と連邦直轄区で今年一月から七月上旬までの間に、二百八十一人の警官(軍警、市警合わせ)が殺害されている。このうち八十四人が制服姿での殉職死、残り半数以上の百九十七人が私服だった。このうち軍警が二百二十五人(百七十六人が職務外)市警は五十六人のうち三十五人が殉職という結果となっている。
リオ州が六十九人の軍警と十二人の市警計八十一人と最も犠牲者が多く、このうち殉職者は三十人だった。サンパウロ州は五十九人で殉職は十五人、バイア州は二十九人のうち十人となった。リオ州ではスラム街の麻薬組織との武力闘争により犠牲者が多い。
職務外での死亡は、副業としている商店やビルの警備中強盗に立ち向かった時が最も多い。このほかバス強盗に出くわして取り押えようとして殺害されるなど、突発的犯罪による犠牲も頻発している。これらは警官としての自負と義勇心の表れとみられている。また逮捕されたことへの復讐に、担当した警官を殺害する事件も増加している。さらに警察手帳を所持していただけで有無を言わず射殺されたケースもある。
アメリカでは同期間、警官殺害は三十四人、コロンビア(ゲリラ活動で特に有名)でも六十人とブラジルより少なく、イギリスではたった一人だった。アメリカでは警官殺害は殺人事件の倍の重罪となり、ほとんどの場合死刑は免れない。ブラジルはアメリカの三倍の犯罪発生率で、しかも死刑がないので安易に警官に抵抗すると関係筋は分析している。
軍警上層部は警官の待遇が犠牲者を増やす原因とみている。副業で身を危険にさらすほか、住居も家賃が安い郊外の治安の悪い場所なので、犯罪者から目をつけられ易いとしている。