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投資は「鉄の女」の双肩に=電力危機回避なるか=岐路に立つロウセフ鉱動相=「政府主導」に投資家ソッポ

8月4日(水)

  【ヴェージャ誌】ブラジルの「鉄の女」と呼ばれるジウマ・ロウセフ鉱動相の双肩に、これからの民間資本のエネルギー投資がかかっている。また民間投資家の信用獲得に向け、同相の一挙手一投足が国際投資家の注目となっている。

 ルーラ政権の発足当初、資本家を説得するため鉱動相は、資本家のペースに乗らないと強硬姿勢を採っていた。パロッシ財務相の緊縮路線に同調し、まず足元は固めた。任期も三分の一が終了したいま、同相は岐路に立たされている。
 同相の課題は、産業界で兆候が見え始めた経済活性化をいかに継続させるかだ。同相の立場は産業の生命線死守だが、現実は茨の道。彼女の使命は、三年前に起きた電力危機の再現を回避すること。そのためいかにして民間資本を発電計画に投資させるかが、同相の手腕にかかっている。
 経済成長率を四%に保つためには、電力供給を六%増やす必要がある。そのため年々、二〇%増の割合で電力投資を促進する必要がある。これまで苦い経験を味わったが、政府には資金捻出の財源がない。
 内外の資本家の協力を仰ぐしかないが、媚びを送る位では解決できない難問だ。官民合同プロジェクトを打ち出し、官と民の結婚式を準備中だが、末長く睦まじい仲で信頼できる間柄である必要がある。その媒酌人が、鉱動相の役目。
 中々結婚に至らないのは、同相が政府を電力業界の主役として望んでいるからという見方がある。国会が三月に承認した決議「判断基準」は、電力に関する裁定の権限を国家電力庁(ANEEL)から取り上げた。国家戦略の重要判断であるとして同相に裁定権限を一任することにした。
 電力とは長期にわたり需要が見込まれる投資だが、資金の回収が十年以上と長い。その間に、どんな政変が起こるか分からない。契約を履行しない政権が、誕生することもあり得る。電力のような長期計画に投資する資本家は極めて少ない。さらに大きなリスクは、一般的な投資と同等視されることで、大統領の暫定令で処理されることを投資家は恐れている。
 鉱動相は、判断の基準は連邦令に従わせ、法整備が欠落する場合は布告か解除決議を発令すれば良いと考えている。しかし、それでは資本家が納得しない。連邦令「判断基準」は、粗雑な欠陥法だ。発電した電力が、消費者に必ず届く保証はない。環境規制の優先的免除もない。現状では資本家がリスクを犯す気にならない。だからといって現行法に代わる法案作りに挑戦する勇者もいない。
 投資によって生じる権利は、政府の理不尽から民間投資家を守るものでなければならない。資金の回収までに、投資家は七つの政権と付き合うことになる。民間投資家を安心させるため、大衆迎合主義や専横的に実力行使する政権が誕生したときの保証を約束するのは当然だ。
 特に電信電話部門に投資した資本家は、政府への対処に奔走している。電話業界の日進月歩の技術革新は、政府の鈍重な判断を待っていられない。業界で遅れを取りシェアを失わないため、政府の決断を待たず設備投資をして、裏切られたことは枚挙がない。
 このような前例があって、電力投資に同じことが起きないと誰が保証するか。インフラ整備では、全ての部門で同様の問題が起こり得る。〇五年は経済成長率を最低三・五%に引き上げる意気込みだが、それに見合う投資増がないなら電力不足に悩まされるのは必定。

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