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コラム 樹海

 イランやアフガンを始めアフリカでも多国籍軍と地元の政治勢力との紛争や部族抗争は多い。不幸な「戦い」としか申しようがないが、こうした人間の闘争よりももっともっと怖い病気が地球の隅々まで広がっている。悪名高い「エイズ」である。昨年一年間だけで二百九十万人が死亡しているの報告があるように―これほど恐ろしい病気はない▼この病気がNYで発見された八〇年代の頃に専門家らは「すぐにワクチンが―」と安易な発言をしたが、未だに見つかってはいない。確かに効果的な薬品の開発には成功している。しかし、これには莫大な研究費がいるし価格は高い。このために途上国の患者に使用を薦めることができないなどの難点が横たわっている。サハラ以南のアフリカ諸国に感染者が最も多く南アフリカにも患者はいっぱいいる▼世界の感染者は三千七百八十万人と推定され、うち二千五百万人がアフリカで暮らす人々なのである。医学や経済の関係もあって先進国での感染や患者は抑えられているが、アジアにもエイズの危機は迫っている。目下の感染者は七百四十万人。インドには四百万人もおり中国の急増ぶりも見守る必要があろう▼今は八十万人ながら二〇一〇年には一千万人に達するの警告もある。もしそうなれば深刻な事態になり、世界を挙げての対策と予防にあたるほかはない。中国だけではなくタイも悲惨な目にあっているし国境を越えたエイズ退治に取り組む姿勢がないと、この悪魔にも似た病気にはとても勝てまい。(遯)

04/08/10