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変貌する路上生活の子供=パトロール強化で徒党化=主な家出原因は家庭内の虐待=サンパウロ市

8月11日(水)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】サンパウロ市中心部は市庁移転や美化整備工事で変貌をとげつつある。これに伴い、この一帯を根城にしていたストリート・チルドレン(メニーノ・デ・ルーア)の様相も一変した。
 これまでは単独あるいは少数グループで寝る場所を定め、その一帯を縄張りとして物乞いをして小金を稼いではシンナーや接着剤を吸引しラリっていた。しかし市当局が警察官を増員してパトロールを強化したことで彼らは追い払われるようになった。このため彼らは目ぼしい繁華街や公共施設を警官の目から逃れながら転々とし、身の安全を確保するため必然的にグループ化した。
 現在二十人から三十人のグループが形成され、成年のリーダーが青少年らを取り仕切っている。中には九才、十才の少年も交じっている。このリーダーは複数おり、身の安全を保障する代償として物乞いで得た収入のピンハネ、少女たちへのセックスの強要のほか、街角で引ったくりなどをさせて、その盗品を売りさばいているという。さらにリーダーらはシンナー入りのビンと接着剤の袋を持ち歩き、グループ内でシンナー五レアル、接着剤一レアルで売りさばいている。
 少年補導員によると、彼らは総勢三百人くらいと見られているが、各区域を転々としているため実数はつかみにくいという。このうち三分の二は住家あるいは避難収容所に家族がいるが、家出の原因は家庭での虐待と収容所の規則だとしている。彼らの中には学校に接着剤を持ち込み、授業中にプラスチック袋に顔を突っ込んで吸引していたかどで学校を追放されたものもいる。しかし反面、教材が無くて学校に行けない子供も多い。両親は共稼ぎをし、ほとんどがその日暮しで金銭面に余裕がない。ある少年は隣家の家族年金百レアルを盗んで帳面や鉛筆などを買い揃えたが、父親にバレて折かんを受けたため家を飛び出したという。
 これら少年らの保護者は、このままでは強盗団か麻薬組織の予備軍にされるのは必定とし、サンパウロ市中心部に出て来られない田舎に引っ越すことを真剣に考えている。