8月12日(木)
「ヤマ(弓場農場の通称)が日本祭りに参加するのは今年で四年目ですが、私自身が参加するのは二年目です。今年は若者たちにも祭りの雰囲気に慣れてもらおうと、十代や二十代の者も連れてきました。農場での手作り食品三十品目をほぼ完売できたし、意を強くしました。日本祭りがこれほど賑わう行事になるとは驚きです。ヤマはサンパウロ市から六百キロも離れていますから、このような賑わいは信じられないほどです」――リーダーとして参加した弓場的(ひょう、43)さんの率直な感想だ。
弓場農場は、サンパウロ州で一番遠距離からの参加だったに違いない。自給自足の共同生活を営んでいる同農場は、ユバ・バレエでも内外で広く知られている。去る七月十一日、サンパウロ市で行われた第二回YOSAKOIソーラン大会でも総合優勝を果たし、さらに名を上げた。
自給自足のため、健康に配慮して野菜も果物も基本的には自然栽培だ。味噌も醤油も豆腐もパンも麺類も、そして、漬物も、すべて女性たちの手づくりなのが特徴だ。
創立者の弓場勇さんとその同志たちのほとんどは、すでに天に召されているが「土と共に歩む」という創立の理念はずっと踏襲されている。
手づくり食品と加工品は〃おふくろの味〃を満載しており、これがユバ食品に常連たちを引きつけ、輪を広げる要因となっているようだ。今年の日本祭りにはパラグァイのイグアスー移住地の特産品といわれる「オーロラ」(非遺伝子組み替えでタンパク質含有量が高い大豆)を素材とした味噌を出品したが、前評判もあり、持参した一キロ入り百五十袋が早々と売れてしまい、楽しみにしてきたお客さんを落胆させる場面が多かった、という。
干しシイタケとカンピョウも好評だった。紅ちらし(花梅)、佃煮、漬物、かりんとうなど、昨年の十七種類に対して、今年は約三十種類の手づくり食品を用意したが、祭りが終わってみれば、果物ジャムが少量残っただけだった。
来年は祭り会場で豆腐の手づくりを公開したい、ラーメンを販売したい、もっと思いきってヤマをPRしたい、など楽しい課題が残った。ラーメンでも、弓場農場では麺もダシもすべて手づくりで、来訪者に歓迎されるご馳走の一品となっている。もっと早く売り切れるかと思ったが、案外と時間がかかった、という感想はバラッカの場所にも影響がありそうだ。
来年はヤマ独自のバラッカを、の期待が浮上しそうな勢いで、日本祭りは弓場農場の若者たちにも大きな夢をもたらしたようだ。