8月13日(金)
去る六日、四万トンのユーカリチップを満載した船が日本に向けてモンテビデオ港を出港した。これは、日本政府がウルグァイ東方共和国に対してJICA(国際協力機構)を通して、過去二十五年にわたって行ってきた技術協力が開花したことを意味し、喜ぶべき成果だ。輸出元はENCE(Euro-Fores)社で、輸入元は伊藤忠商事。日本への輸出が実現したことを記念した祝賀会が、四日、首都モンテビデオ市内のホテルで行われ、中村義博特命全権大使をはじめ、ウ国政府、工業会、金融界関係者、駐ウ英国大使ら多数が出席した。
あいさつの中でENCEのラウル・パエス社長が「日本は世界最大の木材輸入国。ウルグァイと伊藤忠商事・王子製紙の連携で日本にチップ輸出が実現したことを大変嬉しく思う。輸出が継続されて、両国の発展に大きく寄与することを期待している」と述べた。
小渕昌之・伊藤忠商事チリ事務所長は「ウルグァイでは、製紙の原料となる樹種の植林が大規模で実施されており、輸入相手として有望な国だと見てきた。日本から遠いことや、船積みが難しいことなどの問題があり、今日まで輸入が実現しなかった。量・質・価格の三点が木材商品として重要。これを機会にウ国との関係を継続し、ウ国の経済発展に貢献したい」と期待を表明した。
太田貞明ウルグァイ国立産業研究所(LATU)常勤技術顧問(農学博士)によれば、チップ用材となる樹種は、グロブルス・ユーカリだ。日本の他の大手商社もウルグァイの関連企業と交渉に入っている、という情報もある。現在、ウルグァイにはチップ生産工場が三カ所あり、いずれもフル操業されている。ほとんどが日本向けのようだ。
一九七〇年代に始まったウルグァイの植林基本計画とパルプ生産計画、そして林産品試験計画など、二十五年にわたる日本の技術協力が、一方でウ国の経済発展に寄与し、他方で日本の製紙産業に貢献する道を拓いた。しかも、人工造林材の有効活用は、地球上の他の地域にある自然林・原生林の保全にもつながり、世界の環境保護にも貢献できる重要な要素を備えている。
このような流れの中で、オイスカ・ウルグァイ総局(ロペルト・ロング会長)が学校教育を通して全国的に実施してきた、植林意識啓発運動(子供の森)が注目を集めており、昨年、ウ国を訪問した紀宮さまが〃子供の森〃プロジェクトを視察された(本紙・〇三年十一月二十二日報道)ように、ウ国政府も日本と関係のあるNGOによるこうした取り組みに期待を抱いているようだ。