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唄でつづるカンゲイコ=柔道(6)=巨漢がホームシック=ポッソス=頭痛い道場環境〃不全〃

8月17日(火)

 七月十八日(日)、サンパウロ勢三十五人、ミナス勢三十五人は、雨の降る中を、夜七時、道場に集合した。自己紹介、ミーティングのあと、ミナス選手は道場に、サンパウロ選手は市の宿泊所に分宿し、翌十九日から、午前は八時半より十一時半、午後は四時から七時半までの練習が始まった。
 今回は男子のみ、十五歳以上、という規則なので、なかなか壮観であり、かつ、しぼり甲斐がある(少々殺風景ではあるが)。そう思って大いに追いかけまわしていると、三日目ごろから百八十六センチ、百二十五キロもある大きなのが「ママイのところに帰りたい」などと、半泣きで言い出すのである。
 そこで「なー、カイオ、カンゲイコは三日目が一番つらい時なのだ。きょう我慢できれば、あとは楽なんだ」と励ましてやる。カイオは絶望的にうなずいている。すると、何人もそういうのが現れる。「みんな、そういう時には、この唄を唄うんだ。元気が出るぞ」。唄うのは「♪つらい修業と弱音を吐くな、月が笑うぞ三四郎」である。
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 今まで、ポッソス・デ・カルダスで暑中稽古はしたけれども、寒稽古は初めてである。なぜかというと、当地の寒さは半端(はんぱ)でないからである。今回の寒稽古中も明け方の気温は二度~三度であった。そこで、市がくれるせんべい布団にくるまって寝るのは、なかなか楽ではない。
 朝、道場を走っていると、「足がしびれるよ」と生徒たちが文句を言う。「カンゲイコやっているんだ。そんなことは当たり前だろー」と言いながら、実は、こちらもしびれて仕方なかった。それでも、三十分もすると、大汗をかいて、みんなニコニコしているのである。
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 今回のカンゲイコは、市の全面的な協力を得ることができたため、生徒が支払う参加費用は十レアルだけだった。それでも払わない者がたくさんいた。
 市の協力は、たいへんありがたく、文句を言うことはないのであるが、市職員の働き方には、参ってしまった。とにかく、時間は守らないし、その言い訳は天才的に上手い。
 選手を迎えに行くオニブスが故障したというのは、毎度のことであり、直しておくように言っておいたシュベイロを修理にきたのは最終日である。食事の質と量も、選手にはかわいそうな〃程度〃なので、近くの肉屋から骨をもらってきて、豚骨スープをつくったり、レイチやバナナなどを補給して栄養を補ったりした。(つづく)