8月20日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十九日】最高裁は十八日、定年退職公務員からの社会保障負担金(INSS)の徴収を連邦令に適うものとして、七対四で容認する判決を下した。定年退職した連邦政府の公務員で一千五百五レアル以上、地方自治体の公務員で一千二百五十四レアル以上の年金受給者が、負担金徴収の対象者だったが、今回の判決で対象額が二千五百八レアル以上に引き上げられることになった。この判決で国庫は年間、二億八千五百万レアルの減収となる。
公務員定年退職者と遺族年金受領者からの社会保障負担金の徴収は、カルドーゾ前政権が何度も試みては失敗していた。ルーラ政権でも同件は、社会保障制度改革で最も注目された議題だった。議会承認へこぎ着け、さらに最高裁で部分的勝訴だが、徴収が容認されたことは、PT政権の殊勲賞といえる。
政府の勝訴は、金融市場でも好感をもって評価された。為替市場はドル通貨が〇・三七%下げ、五月五日以来三レアルを割り込んで二・九八レアルに着けた。サンパウロ市証券取引所も三・二六%上げ、好況を呈した。
前政権は、二五%を上限として定年退職者や遺族年金受領者の受領額に準じた負担金納入を求めた。これは、最高裁が未来の年金資金の捻出だとして違憲判決を下した。一度受領した年金からの負担金徴収は違憲だという。また二五%の負担金徴収を没収として違法判決を下し、退職者からの徴収を葬った。
しかし、旧法令の廃止や免除枠を引き上げることで年金生活者の負担を減らせば、新しい法案の作成に道が開けると政府はみた。最高裁は負担金徴収の免除を年金二千五百八レアルまでと設定し、ここまでは全額支給、これを超過すると超過分に対して負担金が差し引かれる。
判決前の社会保障制度では、二十二万九千人の定年退職者と七万六千人の遺族から年間十一億六千八百万レアルを徴収できた。それが、二億八千五百万レアルの減額になる。最高裁は、政府がすでに徴収した負担金で違憲とされるものは返還の義務があるとした。該当する年金生活者は、手続きすることを薦めた。
現政権の〇三年十二月に制定された定年退職者の負担金徴収に関する連邦令補足四十一号は、連邦公務員だけでなく州市の公務員も対象となる。連邦公務員の負担金徴収は〇四年六月から始まった。この法令では免税枠が連邦や州、市によって異なるから注意を要する。
最高裁の判事三人は前回では反対票を投じたが、今回は賛成に回った。前回の法案は公務員の既得権にも抵触していたが、今回は既得権には一切触れていないので賛成票を投じたと説明した。しかし新たな負担金制度を設けるのは、連邦令に抵触すると見解が別れているようだ。
定年退職者から徴収する一一%の負担金は、連邦公務員の場合は一千五百五レアル以上、地方公務員は一千二百五十四レアル以上年金を受領する人が対象。現役の公務員は社会保障院の要求を満たせば、年金は全額支給。しかし、新規に採用される公務員は異なる。