8月20日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】駐車した場所に車が無い!スワ盗難だとその足で警察に駈け込み、被害届けを出す人が十中八・九だ。誰も市交通局がレッカーしたとは思わない。しかし当局によると、三十分に一台の割合で駐車違反した車がレッカー移動されているという。通常は駐車違反の罰金の紙がワイバーに挟まれるが、繁華街や交通量の多い場所では否応なくけん引していく。盗まれてなくて安心と思う向きは大間違いだ。車が交通局の保管所にあることが判ってからは金と時間がかかる。それを解除するにはマラソンのような行程を駈けずり回ることになるのだ。さらに五百レアル以上の支払いが待っている。
当局によると、昨年のレッカー移動は月平均千四百五十三件で、今年は千五十八件と二七・一%の減少だが、それでも違反車は後を絶たず、予算の都合でレッカー車が少ないためこの数字になっているという。先進国ではレッカー移動の数が極端に少なく、運転手のモラルの違いが指摘されている。これに対し車の所有者の間では、違反場所を表示するプレートがなかったり、ある日突然駐車禁止にしたりする当局の官僚主義を非難する声も強い。ある大学生は、大学の前にいつも駐車してきたが休暇期間中に禁止区域となり、レッカーされたと供述している。
当局の説明によると、レッカー移動の対象となる場所は、建物の車の出入口前、通りの角の五メートル以内、二重駐車、横断歩道上、バス停前、駐車禁止の表示場所で、罰金は八十五・一五レアル。レッカーされた車を取り戻すためには、レッカー料三百二十九・六五レアル、保管料(交通局の駐車場)一日十六・二二レアル、銀行経費一・三二レアルのほか、未払いの車検料(IPVA)、それまでに科せられた交通違反の罰金を一括に支払わなければならない。必要書類はバラ・フンダ区の交通局駐車場で受け取り、ピニェイロス区の出張所に提出し、支払いを交通局本部(23・デ・マイオ通り)で済ませ、また、駐車場に戻ることになる。タクシーでこれをすると二百レアル以上になり、まさにマラソンである。
レッカー移動を行った後は、脚立を置いて移動した旨を知らせるが、三時間後に撤去するため(それ以上置くと盗まれてしまうという)違反者は移動に気づかないのが現状。このため当局では交通局のサイトあるいは電話156番で問い合わせるよう進めている。