8月21日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日既報関連】最高裁が、年金二千五百八レアル以下の退職公務員から社会保障制度負担金を免除したことで、政府と地方自治体の間に新たな問題が浮上した。地方自治体の公務員は連邦政府よりも平均給与が低く、年金からの負担金徴収が少なくなった。北東部地方で負担金徴収の対象となる退職州公務員はわずか八・八%、全国の退職市公務員は五%とみられる。アウキミンサンパウロ州知事は州財政が再度、窮地へ追い込まれることになると述べた。
最高裁が年金受給者からの負担金徴収を認める判決を下したものの、徴収対象額を引き上げたことで、地方自治体の歳入が減少した。最高裁は連邦政府よりも地方自治体の財政を苦しめる判決を下したと、州知事らは苦言を呈している。
サンパウロ州知事は長年先送りされてきた難題に終止符を打ったことは評価するが、財政的課題を投じたことは残念だと不満を吐露した。サンパウロ州財政では減収が毎月一億レアルに達するという。
セアラ州のアウカンタラ知事は、連邦政府は自分一人だけで救助船に乗り、地方自治体は置き去りにしたと皮肉った。ミナス州知事は、公式に認められたことで、年金生活者からの負担金徴収が州財政の確定収入になったことなど、評価できる面もあるとした。
最高裁判決がもたらした州歳入の減少は、州対連邦政府の戦国ドラマの新局面だと同知事はいう。政府は財政政策で中央集権主義を採っており、その打開策のために、野党知事は新たな結束が求められていると同知事は述べた。
野党知事である南大河州のリゴット知事も、政府との闘争への参加を希望している。最高裁判決は社会保障院の赤字増幅をもたらすものと抗議し、同判決の結果発生する損害額を計算し、即日中にも発表すると述べた。同州の社会保障院赤字は、全国で最も深刻な状態にある。
同州は年金受給者と遺族年金受給者十六万一千人に毎月二億七千八百万レアルを支払う。この金額は、同州公務員の給与総額五億四千百万レアルの実に五一・四%にも達する。
連邦政府技官の計算によると、最高裁判決がもたらす地方自治体の減収は十億レアルに達するという。北部と北東部、中央西部の年金受給者と遺族年金受給者で負担金徴収の対象となるのは八・八%、南部と東南部は二五%となっている。
バイア州では、全年金受給者から一律一一%を五月以後徴収していた。これが二千五百八レアル以下は徴収中止となり、既徴収分は返還しなければならない。州財政の混乱で、狼狽している州も少なくない。
検察官協会は、年金受給者からの負担金徴収に関する最高裁判決は政治的判断であって、法的判断ではないとする声明を発表した。定年退職者の権利は、財政的理由と政治的理由によりじゅうりんされたと付記。
〇四年五月から〇六年までの任期で、ジョビン最高裁長官が就任、年金受給者からの負担金徴収は合憲であると認めたことは特筆される。元政治家であり、政治の立場からの判断もできる長官として期待されている。とかく最高裁長官は、政治的指導力に欠けると指摘されてきた。任期終了後は、次期大統領候補との下馬評もある。