8月26日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】サンパウロ市中心部で起きたホームレス連続殺人事件を捜査しているサンパウロ州保安局は二十四日、目撃者の証言をもとに、犯人グループの二人のモタージュ写真を作製し公表した。
これまでに一人の目撃者が現われているが、その証言によると、犯人は五人ぐらいのグループで、オートバイと自家用車に分乗して現場に到着し犯行に及んだという。警察は有力容疑者として五人の行方を追う一方、現場周辺のビルの防犯カメラで撮影された映像を記録したCD四十枚を入手し、不審人物の割り出しを行っている。この警察の一連の捜査に対しては手ぬるい、あるいは無能だとの批判が続出しており、保安当局はもとよりサンパウロ州アウキミン知事も失面に立たされ、苦しい局面を迎えている。
目撃者の話によると、犯人は複数のグループ、二人はオートバイ、残りは黒っぽい自家用車に分乗して現場に到着したという。車の窓ガラスに黒いシールドが張られ車内は見えなかったが、後部座席の一人が窓を開けてバイクの二人に合図したのが見えたとのこと。惨劇はこの直後に起こった。警察はこの証言をもとにモンタージュ写真を作製した。車の男はがっちりした黒人のひげをはやした三十歳位、バイクの男は白人のやせ型、髪は剃っていて二十五歳から二十八歳位、警察では二人を有力容疑者とみて追跡を始めた。
さらに警察は現場付近のビルの防犯カメラが撮影した映像を記録したCD四十枚を入手、チエックを開始した。当局によるとCD一枚は六時間、全部調べるには二百四十時間かかると説明している。
いっぽう事件発生後五日も経過していながら、捜査が進展していないことに対し不満の声が高まっている。下院では十一人の議員が特別調査委員会(CPI)の緊急設置を申請した。サンパウロ市議会でも州保安長官を議会に招聘し質疑応答が行われる予定。また全国弁護士協会(OAB)聖支部は、神父や人権擁護メンバーの連名でバストス法相に書簡を送り、治安強化、予算の増枠を直訴することを決定した。
ジョルナル・ダ・タルデ紙は、二十四日午前一時から五時までの四時間、レポート記者が中心部を走行したが、その間出会ったパトカーは六台のみだったと報じている。