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コラム 樹海

五輪の金メダルは経済にも大きな力を発揮するそうだ。フアンは観戦のために新型のテレビやDVDを購入するしスポーツ・グッズも売れに売れる。ある試算によると、日本が金を二十個ほど獲得したとすると、GDP成長率は6・4%も上昇するそうだから大変なものである。今は金が十五だが、銀と銅との合計は三十四個と過去最高。不況を吹き飛ばす威力は十分にある▼それにしても日本は頑張った。余りにも頑張りすぎたので小泉首相や閣僚のセンセイ方も大いに困っている話が遠い遠いサンパウロにまで聞こえてくる。首相が歌舞伎や芝居好きなのはよく知られるがスポーツの大ファンでもある。柔道の谷亮子が金。続いて野村忠宏が三連覇に輝くと、早速に電話を取って「おめどう」のお褒めを申し上げる。が、そんな首相も大いに弱り―参っているらしいのだ▼首相は大活躍した選手たちを表彰したいと考えていたらしい。初めのころは谷と野村の二選手に国民栄誉賞を―と軽く思っていた節がある。ところがである。水泳の北島康介が二つも金を取ってしまったし、マラソンの野口みずき選手もいる。レスリングでは吉田沙保里と伊調馨の二人が金メダルに輝く。銀ながらアーチェリーの山本博選手の四十一歳も見落とすわけにはゆくまい▼さすがの首相も「対象者が多すぎて線引きが難しい」と、嬉しい悲鳴を上げていると聞く。兎にも角にも―アテネ五輪での日本選手は活躍しすぎた―の愚痴を言いたくもなるような「万歳オリンピック」だったのに―である。 (遯)

04/08/26