8月27日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】中央銀行は二十五日、引き上げていた外国からの直接投資が還流しつつあると発表した。五月には二億ドルにまで落ち込んだが、六月は七億ドル、七月は十六億ドルと四七年に中銀が外国資本の誘致を始めて以来の顕著な回復振りを見せている。七月は輸出努力により貿易黒字を十八億ドルへ付け、過去二番目の月間実績となった。経常収支は七月までの累計で六十二億ドルの黒字。経常収支は八月だけで、十七億ドルの黒字に上ると中銀は予測している。
外国からの直接投資がしばらく下火であったために対外債務の決済に支障を来していたが、資金の流入がようやく再開し始めたことで関係者は安堵している。中銀は八月の外国投資として、月末までに七億ドルの流入を予測している。さらに年末までの四カ月間に、対外債務決済用に十四億ドルの入金を期待している。占めて総額で百二十億ドルの直接投資を中銀は欲しいところ。
中銀財政局のアウタミール・ロペス長官は、外国からの投資再来には二つの特徴がみられるという。一つは、当国の経済回復が確認されたこと。中銀は〇四年の経済成長率を三・五%と踏んでいるが、金融市場は四%と予測し、投資が先行している。さらに、米公定歩合の引き上げで途上国からの資金回収が進行するという不利な外的要因を、ブラジル経済が克服していることなどに、投資家たちが好感をもっている。
もう一つは、ブラジルが魅力ある投資先として外国投資家から認められたこと。官民合同プロジェクト法案の可決は、外国投資家の間で評価を得た。さらに輸出が好調に伸び、七月の貿易収支も十八億ドルの黒字と確実に成果を収めていること。これは、六月の二十億ドルに次ぐ成績であった。
輸入も伸び始めたが、為替相場は輸入に有利な展開を示した。経常収支は輸入を十分消化できる力がある。外資流入により、海外旅行や対外債務の金利、利益、配当金の海外送金などの決済にも余裕が出て来た。八月の決済で中銀は十七億ドルの黒字、八月までの累計で七十九億ドルの経常収支の黒字を見積もっている。この調子で行くなら、黒字は〇三年の倍になる。
中銀は〇四年の経常収支を二十五億ドルの黒字と見積もっていたが、五十四億ドルも超過することになりそうだ。ブラジルがインフレ抑制のためドル通貨の推移に神経を尖らせているとき、好調な経常収支黒字は最高の慰めといえる。ブラジルは慢性的にインフレ体質があり、経常収支で赤字になるリスクを常に背負っている。
経常収支の黒字は、すでに経済の基礎が出来上がったことで、〇五年も実現可能と考えられている。しかし、長期間にわたっての保証はできない。消費者の気が緩めば、いつでも輸入が怒涛のごとく激増する。八月は輸出の三五%増に対し、輸入は三九%増であった。輸出増は地味な努力の積み上げだが、輸入増は景気回復の反映といえる。ちょっとした油断で、貿易赤字は生まれる。