8月28日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】中央銀行の通貨審議会(COPOM)は二十六日、八月の最終会議を開き、基本金利を年一六%に据え置くと決定したが、引き上げに向けた地盤造りが必要であるとの認識で一致したことを明らかにした。議事録によれば、現行の基本金利はインフレ目標の達成に不十分としている。二〇〇五年には原油高騰というインフレ要因が経済基盤へ悪影響を及ぼすことが、すでに懸念されている。サンパウロ市証券取引所は、議事録発表を受けて二・〇七%下げた。
基本金利(SELIC)は長期間一六%に据え置かれたが、もはやインフレを目標以下に抑えるには不十分であるとの認識を中銀は示した。原油の高騰と消費者物価指数の動向を踏まえると、〇五年のインフレ目標率四・五%の達成は困難と中銀はみている。
議事録は、原油の高騰が予想を上回り、通貨政策の手落ちは収拾の付かない結果を招く恐れがあるとしている。一方、原油の高騰はイラク情勢の泥沼化によるもので、〇五年のインフレに深刻な影響を及ぼしかねないという見方がある。
国内の燃料価格の調整は六月に行われ、インフレを六月に〇・七一%、七月に〇・九一%引き上げる結果を招いた。ロウセフ鉱動相は、国際情勢をもう少し観察してから、燃料の調整率を決定すると述べた。
中銀は、基本金利一六%で七月の消費者物価指数(IPCA)が辛うじて目標内に収まると見ていた。しかし八月は事情が急変した。〇五年のインフレ目標は達成困難という結論だ。
〇五年のインフレ目標が四・五%から四・八%または五%へ引き上げられるという観測も出て来た。市場関係者は、基本金利の引き下げは当分なく、必要に応じて即応するという認識を中銀が七月に示したのは、金利引き上げが近いというサインだとみていた。
中銀のCOPOM議事録は七、八月ともほぼ同じ内容だった。掛け声だけで実行がないと、誰も中銀を信用しないと関係者はいう。また中銀には、基本金利の引き上げが経済回復に影響を及ばさないことを明示する役目もある。たとえインフレが頭を持ち上げ、金利引き上げで防衛しても、経済は順調に成長しなければならない。中銀のショック療法は、経済成長に益することが前提条件とされている。
一方、産業界は〇四年の経済成長率四%を経営計画の基礎に設定している。人員採用、人件費、生産など全て四%で起算している。経営コンサルタントの多くは、四%は昔の話として四・五%と強気の予測をする。時代の波に乗り遅れないよう、各社は忙しいようだ。
眠り竜であった土木建築、エネルギー部門も動き始めた。活気は限られた業種でなく、全般で見られる。社会部門にはまだ手が届かないが、一般消費者は下半期に経済の躍動を実感できるという。
長い不景気のトンネルをようやく潜り抜けたようだ。当初は輸出部門だけが春を謳歌したが、今は国内産業全般に余禄が回り、消費者にも浸透し始めた。