8月31日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】サンパウロ州保安局麻薬捜査課は二十七日、七都市の市警と合同で麻薬暴力組織、首都第一コマンド(PCC)のメンバー五十五人を麻薬取締法違反の疑いで逮捕した。さらに既に逮捕されて留置所や刑務所に収容されている五十三人にも同容疑で逮捕状が出されたことから、一連の逮捕者は百八人に上った。
同組織のメンバーの大量逮捕は市警史上初めてのことで、当局は組織の壊滅に向けてさらに追及していく方針を打ち出した。逮捕者は多岐にわたっていることから、組織の全貌や取引の内容などを解明できると市警は意気込む。いっぽうで逮捕者の中に裁判所員や弁護士が混じっており、「密告」や刑期軽減の「値段交渉」をしていたことが明らかになり、司法関係筋に波紋が広がっている。
当局は、昨年九月までに逮捕されたPCCのメンバー五十三人の背後関係や身辺調査を行ってきた結果、このうち幹部五人が収容されている刑務所内から携帯電話で麻薬取引を指示していることを突き止め、極秘裡に捜査を進めていたところ、立証物件がそろったとして五十三人の逮捕状を取り付けた。逮捕劇は七都市で一斉に行われた。これには連邦検事総長をはじめとして検事十七人、軍警百人、警察署長四十人、捜査員百七十五人が動員された。
麻薬はボリビアとの国境の町、南マット・グロッソ州コルンバ市で仕入れられ、各地に配送されていた。大口仕分け地はサンパウロ州内のリオ・プレット、サンジョゼ・ド・リオプレット、アラサツーバ、サントス、サンパウロの各市。なかでもリオ・プレット市では表向き車販売代理店五社が毎月十五万レアル以上の資金洗浄をし、取引も車庫内で行われていた。警察は各社を閉鎖するとともに在庫車八十五台とオートバイ六十二台を押収した。
捜査員が驚いたのはリオ・プレット市裁判所職員の逮捕で、彼は裁判所の逮捕状の執行や警察の動きを組織に連絡していた。さらに組織の弁護士は、逮捕者らの罪状軽減や仮釈放を裁判所と交渉していた。録音されたテープにはその〃値決め〃のやりとりがあるという。この報に接したブラジリア市の高等裁判所は「司法官として最も恥じるべき行為」との声明書を出し、徹底調査を命じた。