マラソンのバンデルレイ・デ・リマ選手の悲劇の銅メダルで日曜日の話題は持ちきりだった。
一時は二位以下に四十五秒差をつける快走で、三十六キロ地点で妨害されるまで首位を維持。事件後、顔をゆがめて走り出したが、失速し、二人に追い抜かれたのは信じられぬ悲劇と映った。
そんなとき、だ。鮮やかな逆転ヒットが目に入った。競技場に入ったバンデルレイ選手は大歓声にこたえるように手を広げ、笑顔のジグザグ走行までみせる茶目っ気振りを発揮。
ゴール後は、「レースではよくあること。銅メダルが取れてとても幸せ」と胸張ってコメントしていた。オリンピックは、そして人生は勝ち負けではないと諭された。
なにより、不幸にも決してくさらず、湿らず、陰険にならずというブラジル式叙情、ここにありと感じた。 (大)
04/08/31