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コラム 樹海

 ポルトアレグレの大学教師、トモコ・ガウジオーゾさんが、文学部の学生を相手にポ語で「俳句」のワークショップ(研究・研修集会)をしていることを短い随筆に書き、『ブラジル俳文学』(八月号)に発表していた。教える作業、学生の実状、作句とその後、などが面白かった。興味をおぼえた学生は、本格的にハイカイの道に入っていくのだろうと察したりした▼トモコさんの授業は、まず日本の俳句を説明、ブラジル人が作った作品の例を示す。さらに季語の話。四季別に動物、植物、天候、行事、生活に関する語彙を学生たちに書かせる▼これに時間がかかったそうだ。あまり季節感覚がないせいらしい。「冬の季語に西瓜やヤモリが出てきたり、蚊が出てきたりしたが、これもブラジルでは有り得ることかもしれないと考えさせられてしまった」▼ブラジル人に季節感覚がない、とばかりは言っていられない。余談だが、日本人も若い人が都会暮らしばかりしていると、感覚がマヒする。恋人などいようものなら、その表情やしぐさばかりが気になり、季節は忘れる。農業経験がない、普通の人が季節に敏感になるのは、ある程度加齢してからだ▼学生たちの作句はスムーズにいった。各自黒板に自作を書き、批評しあった。次の日の授業で、植物や動物の名前、天候が気になり出した、と言ってきたそうだ。トモコさんは、俳句が自然に目を向ける媒体の役目を果たしたような気がして嬉しかった、と随筆を結んでいる。(神)

 04/09/01