9月2日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】ブラジル地理統計院(IBGE)は三十一日、〇四年第2・四半期の国内総生産(GDP)が昨年同期比で五・七%増、上半期では四・二%増となり、八年振りの活況を呈したと発表した。〇四年度の経済成長率は、〇三年のマイナス〇・二%からプラス四%へと飛躍が予想されている。多くの企業は輸出に偏向することなく、全般に売上を伸ばした。パロッシ財務相は、産業再生の動きを踏まえ、経済政策の見直しを表明した。
輸出の好調と消費の回復、企業の設備投資により国内経済が、ようやく活気を取り戻した。〇四年第2・四半期のGDPは、九六年第3・四半期六・三%以来の高水準で、〇四年上半期の四・二%は〇一年電力危機直前の水準。まだ緒に就いた段階であるが、軌道に乗ったのは確かといえそうだ。
経済成長が全分野に浸透したとはいい難いが、建設部門が六・七%増となったのは専門家の注目を引いた。政府の大衆住宅への融資もあるが、「蟻の経済」といわれる一般庶民の住宅建設や修築が一斉に始まったこと。それは一般庶民の懐に余裕ができたことを如実に物語っている。
特記すべきは、工業生産の増加と消費市場の回復に伴い、所得が安定し失業の恐れが去ったことだ。〇三年の上半期は、過去十年間のナベ底だった。経済回復が軌道に乗ったところで政府はミクロ経済政策の調整を行い、今後二、三年間は四%以下のGDPになると予測される。
GDPを年末まで同率で推移させるため、基本金利は据え置きになるとIBGEはみている。引き上げがあれば、〇五年の中頃にGDPの振れがあるという。経済成長率が今後も順調に推移するには、インフラ整備への資本投下や企業の設備投資が不可欠だ。
経済成長率の維持には政府内でも両論がある。消極論者は原油高騰と経済活性化でインフレ再来と金利引き上げ、発電や国道への投資不調、企業全般の設備投資が低調、米国経済が足手まといになると指摘。
一方で経済活性化にはプラス・アルファが伴う。売上は経済の病を癒すという積極論がある。雇用の再開と所得向上、貿易収支は右上がり、経常収支にも余裕ができる。国内投資も外国からの直接投資にも拍車がかかる。国民が前向きムードに包まれるのは強い。庶民にとって、失業旋風が過ぎ去ったのは最大の慰めだ。
経済専門家らはオペラが開幕されたのであって、経済発展の景観はこれから観覧するといっている。まだ第一幕であって、フィナーレまで観覧できることを願うという。そのためには貿易黒字を押さえてでも、財政基礎収支の黒字幅引き上げが必要だとしている。
第2・四半期のGDPは、基本金利引き上げの格好の口実を中央銀行に与えたと市場関係者はみている。金利先物市場では、すでに〇・五%上げた。しかし、基本金利の引き上げは十月の地方選以後とみられる。インフレ圧力はすでに頭を持ち上げているが、選挙前に手を打つかどうかは疑問だ。