9月2日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】政府は三十一日、来年度国家予算の政府案を国会に提出した。同案の特徴は、国家プロジェクトの投資総額が百五十八億レアルに上ることで、特にインフラ整備、生産部門の投資が急増した。政府は経済成長には両部門の投資が不可決と位置づけ、GNP(国民総生産)の高水準維持を当面の目標とするとの態度を鮮明にした。
投資額のうち二十億ドルは外債の支払免除により充当できるとしているが、あくまでもIMF(国際通貨基金)の最終承認が必要となっている。この利払いは国家財政黒字に準じることになっているが、これまでブラジルはインフラ整備の経費および投資を収支決算に組み入れていたのを除外することで、IMFの内諾を得ている。今週末来伯するIMF理事の最終承認を得るのは確実との明るい見通しを政府は抱いている。
こうした背景をもとに、インフラ整備にさらに注力するのが政府の方針で、来年度は百四億レアルの予算を計上、四〇%の増枠としている。とくに幹線道路の整備と新設は経済流通の要めとみなされている。このほか生産部門に対しては、三三%増の三十七億ドルの投資を計上し増産のテコ入れを図るとしている。いっぽうで教育や保健など非生産部門への投資は四百九十一億五千万レアルを計上、一四%アップとなったものの、従来からの上げ幅が削減された。このほかスポーツ、観光、都市整備の投資はカットされマイナス計上となった。政府試算では来年度収入が四千五百七十四億レアル、支出が三千四百二十億レアルとなる。本年度はそれぞれ四千百六億レアル、三千七十一億レアルだった。
予算案では、来年五月に改定される最低賃金が現行の二百六十レアルから二百八十一・二九レアルに設定されている。これはインフレ上昇率に実質二・五%を加えたものだが、インフレの動向次第で金額は左右される。しかし政府筋では国内物価指数で算出されるため大きな狂いは生じないとし、現段階では二百八十一レアル以下になる根拠はないとの見方を示した。
いっぽう政府は、予算案にも影響を及ぼすPPP法案(官民合同プロジェクト)の上院可決が遅れている事に業を煮やし、マンテガ企画相は暫定法令を出してでも発令にこぎつけるとの強硬発言を行った。