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エンブラツール「スポーツ・フィッシング局」新設=海外から観光客釣りたい=局長に日系人抜擢=大型魚の宝庫=アピールへ

9月3日(金)

 キャッチ・アンド・リリース。大型の魚を狙うが獲物は逃がし、釣り上げたときの感触を楽しむのが、スポーツ・フィッシング。最近話題のこのスポーツを目玉に、海外から観光客を誘致しようと、エンブラツール(ブラジル観光公社)は八月十三日、スポーツ・フィッシング局を新設した。サンパウロ市で開催されていた「ブラジル・フィッシング・ショー」で発表した。局長に抜擢されたのは日系のカタクラ・ウィルソン氏(スゴイ旅行社社長)。同公社では、釣りマニアの多い日本人客の獲得にも力を入れており、「JATA(日本観光協会)や、JICA(国際協力事業団)とのタイアップを図っていきたい」と語る。
 エスピリト・サント州のカジキマグロやキハダ、ゴイアス州サンフランシスコ河とアラグアイ河などでみられる大ナマズ、マット・グロッソ州パンタナルではドラード、ピラニア釣りが楽しめる。さらに、アマゾンのジャウー、フィリョッテなど、ブラジルは大型魚の宝庫。世界の釣り愛好者にとっては一度は訪ねたい「聖地」のひとつだ。
 そこでエンブラツールが観光のウリとして着目したのが、スポーツ・フィッシングだ。同公社では八月十四日から同二十一日まで、フランス、イギリス、ドイツ、スペインの観光業者とジャーナリストを招待。エスピリット・サント、アマゾナス、パラーの各州に散らばる釣りに絶好のポイントと、同公社が公認する宿泊施設などを見学してもらった。
 「参加者の評判は上々で、自信が持てた。二年後には、ヨーロッパから毎月六百人の釣り客を見込んでいる」とカタクラ局長。
 日本、欧州以外では、ルーラ大統領の訪中で、ブラジル入国査証が簡素化された中国からの観光客も見込めるという。
 同社関係者の期待は大きい。「釣りを目的とした外国人観光客の数は把握してないが、フィッシング関連の見本市には、中南米諸国から七万人以上の入場者がある。このうえ、欧米やアジアからの誘致にも成功すれば、観光立国への道が開かれ、大変な観光収入だ」
 恵まれた自然環境のポテンシャルを生かし、スポーツ・フィッシングをエサに観光客を釣りたいと青写真を描く観光業界。しかし、リベルダーデ区の釣り専門店マリぺスカの池部旗男さんの見方は少し辛らつだ。
 「スポーツ・フィッシングなどと格好よく宣伝していますが、それは建前でマナーがなっていないのが実情。捕獲し食べる人がほとんど。ブラジルが国を挙げて釣り客誘致に励むことは結構ですが、こうした現実の裏側を知り、資源減少に歯止めをかける規定を定めて欲しい」