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政治家137人、不正送金に関与=旧パラナ銀=国家公務員は411人=資金の97%は脱税で捻出=氏名公開は控えられる

9月4日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】検察庁と連邦警察の合同特捜部は二日、旧パラナ州立銀行を通じて行われた不正送金と資金洗浄に関与した政治家百三十七人の存在を明らかにした。捜査は七年前にさかのぼり、同行に設けられたドル通貨による海外不正送金システムの実態を把握した。さらに国家公務員四百十一人の関与も確認されたが、フォンテレス検事総長は氏名開示を差し控えた。九六年から九九年にかけて総額二百四十億ドルが不正に送金された。
 不正送金関与者は、中央銀行が設けたCC5(外国居住者口座)の送金人または受取人となっていた。不正送金に関与した国家公務員四百十一人は、名義賃貸や取引を仕切った架空企業の経営者であった。捜査の対象となった期間に、これら公務員の所得は三億七百万レアルあったが、架空取引で十五億レアルの収入を得たことになっている。
 上議、下議、州知事も含む疑惑の政治家らが各出身州で資金洗浄と不正送金に関与していた実態を、銀行取引明細によって特捜部は把握した。政治家らは不罰特権を盾に、すでに検察庁へ前もって手を回した。検事総長は今のところ、政治家は同総長の手の及ばぬ場所にいると述べた。
 検察庁の要請により州議や市議、市長らは決戦で競った相手候補も含め、出身州での過去三回の地方選挙における資産動向調査が行われた。検察庁は従来の「勝てば官軍」時代は終わり、勝敗両候補に捜査の手が入るとしている。
 国家公務員が関与し不正送金された金の九七%は当座預金に保管され、脱税で捻出した不正資金とみられる。国税庁は脱税による資金の内、三十億レアルについては立件し、召喚状を発行した。またCC5を通じた不正資金の七一%は、パラグアイやウルグアイ、バハマ、ケイマンのタックス・ヘイブン経由だった。
 検察庁は中銀元総裁のフランコ氏、ロヨラ氏、同元理事のマウヒ氏、カルバーリョ氏に対し、旧パラナ銀の不正行為を看過したとして民事訴訟を起こした。また伯銀元理事のオリベイラ氏やアラウカリア銀行、ミナス州立銀行、レアル銀行の不正送金関与者も摘発した。
 政府から暫定令二〇七号で手厚い保護を受けているメイレーレス中銀総裁と、同総裁の関係企業役員十一人や親族の所得税申告見直しを国税庁は行う予定。暫定令で刑事告発は禁じられたが、週刊誌で報道された不正送金の事実を確認するという。
 旧パラナ銀事件で〇三年五月から、クリチーバ連邦地裁に三百七十三人、フォース・デ・イグアス同地裁に六十八人が起訴された。その内、銀行理事や理事側近など十六人は有罪判決を受けて服役中。百九人は資産を没収された。二十七人は口座を開示され、預金一億七百三十万レアルを差し押さえられた。
 連邦警察の「丘の灯台」作戦では、八州の為替業者六十四人が拘束されている。同作戦は米データ・バンクでニューヨークのチェース銀行にあるビートヒルスの口座を洗った。今回の捜査はラランジャ(名義賃貸人)を素通りして、銀行の理事や側近を直接俎上に上げた。