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日本から「健康食品ツアー」=生産現場見て、市場情報を交換=日伯両国の可能性探る=特色を組み合わせたい


9月9日(木)

 民間同士で、お互いの現場情報や市場情報を交換していく関係を――。日本のブラジル健康食品研究会の会員十人が、二日から九日まで「ブラジル健康食資源を訪ねるツアー」で来伯、ブラジル有用生物資源研究会との第一回目の交流、意見交換会および農場視察が、サンパウロ市などで行われた。
 ブラジル健康食品研究会(塩谷哲夫会長)は、今年一月、日伯を結ぶ有用生物資源や商品、技術、その他のビジネス情報を取り扱う目的で結成された。同会に呼応してブラジル有用生物資源研究会(在津久会長)がサンパウロに発足した。
 同ツアーでは、日伯合同セミナーのほか、JATAK農業技術普及交流センターの見学、有用生物資源研究会会員の農業現場、健康食品(アガリクス、プロポリス)製造工場の視察などを行なった。
 「それぞれの立場でブラジルの可能性を探る」と意気込むメンバーの顔触れは、食品加工企業、水処理事業、医師、大学教授、農業ジャーナリスト、土づくり事業家、コンサルタント、消費者ネット主宰者など多岐にわたる。
 カルビー株式会社を率いてきた松尾聰特別顧問は、食料の枯渇下において、瀬戸内海の未利用資源だったエビをカッパえびせんとして販売したことに触れ、「現地でできる作物、生産物を使って現地で売る、現地主義の立場でブラジルの資源を見つめたい」と原料生産だけでなく加工も視野に入れた産業の在り方を強調した。
 「土の健康は人の健康」と話す健康食品研究会の山代勁二事務局長は「サンパウロには土が無い。農・工・商から見たそれぞれの知恵を出し合いながら、人間と共生する農業の図柄を探りたい」と力を込めた。
 有用生物資源研究会からは、プロポリスやアガリクスの生産・加工業者、トマト、コーヒー、養鶏、柿生産者らが参加。平尾健事務局長は「ブラジルには二千種以上の薬草がある。健康に役立ついいものを開発し、日本をはじめ世界へ製品として輸出したい」と話した。
 三日午前八時からニッケイパレスホテルで行なわれた交流セミナーは、日伯交流の橋渡し役を務めた塩谷会長の司会で進められ、途中、山中イシドロ農務大臣特別補佐官も訪れた。
 「日伯交流と今後の方針」について話した塩谷会長は、日伯交流については「日本人移民が異文化社会の中で発揮してきた力をさらに発展させること」と話し、今後の方針については「続々と技術開発が進むブラジルと、原料生産力は低いが高度の加工技術を持っている日本、相互の特色をどう組み合わすかを模索していく必要がある」と説明した。
 休憩時間にも現地の状況を把握し、問題点を探ろうとする日本側と、現地の情報を提供し、ブラジル農業の発展を目指すブラジル側とで活発な意見交換が行なわれ、参加者の熱意のこもった交流会となった。内外食料経済研究会の山地進代表は「まだ夢のような話だけれど、一人一人の考えを知ることが二回目、三回目のセミナーに繋がっていくはず」と期待を寄せている。