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コラム 樹海

 近頃、ブラジルに渡った二十数万の日本人移民が、この国に残したものは何だろう?と考えることがる。確かに、コロノ生活から身を起こした初期移民らは農業に於いて画期的な功績を残したし子弟らの大学教育に尽くしたのも大きい。今でも政治家などは「日本人は農業の神様」と称えるけれども、何か大切なものを忘れたのではないかなとも思う▼ちょっと大袈裟になるが、家庭内での躾というか敢えて申せば「日本の文化」の教え方が足りなかったのではないか。生活道徳と言い換えてもいい。二世や三世の日本出稼ぎについては賛否両論あるが彼らの行動を見ているとさながら犯罪集団と見間違ってしまうほどに窃盗などに走る。警察庁の発表によると、中国人には及ばないが、ブラジル人の犯罪は驚くほどに多い▼盗みが悪いのは東西南北を問わない。とりわけ日本では赤ちゃんの頃から「悪いこと」と教えられ、倫理として身につけてゆく。失礼ながら、こうした道徳や「日本の文化」を子孫に伝えるのを怠ったのではあるまいかと考えざるをえない。カルチャ―ショックもあろうけれども、日本人移民の二十五万人に犯罪人は極めて少ない。この違いは、文化や倫理観の問題に行き着くのではなかろうか▼無礼を承知で申せば、この国の社会では盗みやコソ泥にはかなり大まかすぎる。日本移民はまあまあの成功者が多いし経済的にも安定したのはいいが尤も大切なはずの「家庭教育」が不足したとすれば残念としか申しようがない。     (遯)

04/09/09