9月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ブラジル製家電製品に続いて自動車の輸入制限も実施に移すため、亜国のロベルト・ラバニャ財務相は八日、ブラジルに向かった。キルチネル亜大統領は八日、事前にブラジル側に了解を求めていた通り、〇六年からブラジル製自動車の輸入自由化を取り止め、亜国自動車産業の育成に努めることを通告、二国間貿易の制限実施を示唆した。同相は、ブラジル政府が実施している多国籍企業誘致のための特典制度にも言及する模様。
ブラジル製自動車の輸入自由化を〇六年から取り止めとするキルチネル大統領の声明発表は、ブラジル政府に少なからぬ衝撃を与えた。亜政府の決定は両国間の外交関係に何ら摩擦を生じないと同相は表明した。亜国もブラジル同様に自動車産業の育成に努めたいとする要望は、ルーラ大統領にも説明済みという。
自動車産業の技術的格差が広がるのに、両国政府は何ら善後策の施しようがなかったようだ。亜国自動車市場はブラジルに五九%のシェアを握られ、今後も押されるばかりで実力の差は明白だった。
ブラジルにおける亜製自動車のシェアは九八年に一四・五%だった。それが現在、二・四%にまで落ち込んでいる。亜国の自動車部品製造業者は、伯製自動車の輸入制限を求め亜政府に圧力を掛けた。しかし、亜国自動車産業の立ち遅れは、惨めとしかいい様がない。
為替固定相場制の九八年は年間四十五万台を輸出し、亜国自動車産業は危機感もなく安閑としていた。ブラジルが大衆車に力を入れたのに対し、亜国は高級車へ走った。そのため、過去二年間の両国の不況では、亜国自動車産業がより大きな被害を被った。
同相は九日午前、フルラン産業開発相とアモリン外相、パロッシ財務相と会談を行う。午後は、大統領とジルセウ官房長官と会談の予定。合法と非合法を含め優勢なブラジル製品が席巻するメルコスル市場の中に、亜国産業を救うメカニズムの確立を同相は要請する見通し。
亜財務相の目的は、自動車だけではない。多国籍企業誘致でブラジル政府が中立的立場を採るよう、同相は要請する。すでにブラジル製家電製品に二一・五%の関税障壁を設けたが、さらに靴など関税障壁の対象商品リストが用意された。特にサンダルなどデザインが格段優れるブラジル製品は、割り当て輸入枠を超えて亜国市場を圧倒するとみられている。
ブラジル製アパレル製品をめぐっても、亜国業者は物議をかもした。〇四年上半期にブラジル製アパレル製品は、亜国市場で二二%もシェアを広げた。亜国業者は死活問題だという。
亜財務相の来訪を迎えるフルラン産業開発相は、メルコスルについて戦略的問題を協議するが、一時的問題には応じないと述べた。ブラジル側が用意した議題は、五件といわれる。一、両国共同で自動車を始め医薬品、資本財、ソフトウエアの技術開発。二、工業政策と技術革新。三、知的所有権。四、金融メカニズム。五、貿易金融に両国の中銀で相殺機関を設置すること。