9月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】スーパー業界で今、熾烈な商戦が繰り広げられている。経済回復による家族収入の増加で購買力が上昇したのを追い風として、年末商戦への足固めにスーパー各店は九月に入り、次々と安売りやプロモーション・セールスを打ち出している。消費者にとってはこの上もない嬉しい展開で、各店の宣伝広告から目が離せなくなってきた。
商戦の口火を切ったのがウォル・マートで、アメリカの本社が打ち出した世界拡販戦略の一環として、本社がブラジル向けに資本金のテコ入れをしたのを機に安売り攻勢に出た。同社は、高値製品の隙間を縫って安売りして値崩れを起こすという〃ドリブル作戦〃だと説明している。この戦略は仕入れ先と特別協定しているため、プロモーション期間を設けなくても臨機応変に対応できるのが強みだとしている。さらに宣伝広告はしなかったが、客の口コミで伝わったため八月の販売は従来の倍増近くの成績だったという。
この攻勢に即座に対応したのがフランス資本のカレフールだ。同店はこれまでの業界トップの座を保つため、全支店網で八百種類の商品を対象に一〇%から五〇%の値引きを断行した。また同店の〃誕生日セール〃として二十一台のエコ・スポーツ車抽選のほか買い物カート六十台も景品とした。この宣伝広告のために一千万レアルの予算を計上し、テレビの有名タレントらをブラウン管に登場させている。
この外資系二店を迎え撃つのが純国産のポン・デ・アスーカル。九月第一週から全百九十二店総力で春の一大プロモーション・セールを開始した。同店はこれまで「日用品を気軽に買える店」をモットーとしてきたが、今後は「安い品物を大量に買い置ける店」へのイメージ・チェンジを図る。今回のセールの目玉第一弾はパック販売で、指定の四品を購入するとその内の一品が無料となるもの。一例を挙げると粉末石鹸一・一キロ入り一箱、五キロ入り米一袋、オリーブ油七百五十ミリリットル一缶を買うと三百グラム入りのスクリーリョが無料となる。
エストラでは〇・〇一レアル販売を推進している。これは前述のパックセールスと同様、例を挙げると五キロ入り米袋を二個買うと一キロのフェイジョンが〇・〇一レアルとなるもの。同店ではこのセールを十九日まで続ける意向だが、好評を博していることから七十二の全店の今月の売り上げは三倍ないし四倍に増加するとの見通しだ。
コンプレベンでも百五十八店を網羅したセールに挑んでいる。同店ではエストラ同様、米二袋でフェイジョン一キロが〇・五〇レアルになるが、対象となる五百種類が全て同店ブランドに詰め替えられているのが特徴。
リオ市が本拠のセンダスは全六十店で一レアル以下の商品の特売を行っている。例えば缶入りコカ・コーラは〇・八五レアル、牛乳クリーム〇・八九レアルなど。
ソナエ・グループのビッグでは四十六店で、五〇レアル以上の買い物にクーポン券を出し、毎日一回、二百レアルの商品券の抽選を行っている。
本来ならこの時期は値上げ調整となるが、小売り業界の〃異変〃に消費者は双手を上げて歓迎の意を表している。