9月15日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】中央銀行の通貨審議会(COPOM)が基本金利(SELIC)引き上げの検討に入ったことで、ジルセウ官房長官は十三日、その原因となるインフレ懸念は存在しないと、引き上げに反対する考えを表明した。パロッシ財務相はインフレ抑制と均衡財政を現政権の最優先課題としており、政府内の意見が分裂している。金融市場はすでに、〇・二五%から一%の引き上げ予想のもと取引が進行している。
しばらく休戦状態にあった通貨政策論争が、再燃している。中銀の通貨審議会が十四日、基本金利の引き上げで賛否両論が渦巻く中で開かれる。金融市場は引き上げを予想しているが、財界や労組、与党幹部から強い引き上げ反対論が火を吹いている。
財務相はブラジルが宝島の地図を手に入れたのは、全国民が一致団結して健全財政と通貨政策に挑み勝利した結果だと主張した。インフレ抑制は現政権の最優先課題であり、現行の通貨政策が経済活性化の妨げにはならないと財務相は強調した。
ブラジルが挑戦すべきことは現行政策の続行だと財務相は強調した。ここで気を抜くなら経済が失速低迷するのは容易で、まだ手綱を緩めるわけに行かないと強く主張。現行政策以外にブラジル経済発展の処方箋はないのだと警告した。
ルーラ大統領から差し出がましい言動は謹むようけん制されていた官房長官は、指示されたことだけを遂行するロボットではないと、中銀と財務省だけで基本金利を決定することに不満を表明した。
十三日行われたジェトゥリオ・ヴァルガス財団主催の経済フォーラムで、官房長官はうっぷんを晴らした。大統領から金利には口を出すなと釘を刺されたが、お叱りを承知で金利政策を批判した。中銀の決定は絶対的なものか、ブラジルは民主主義の国ではないか、議論の自由は許されないのかとまくし立てた。
官房長官は現行の通貨政策において金利設定を間違えるなら「ブラジルは角を矯めて牛を殺す」と警告した。現行の通貨政策は、過去の遺物だという。経済発展政策は、通貨政策や財政収支に連動させるべきではないとした。ブラジルは過重債務問題を乗り越え、世界経済の中で今日の地位を築いた。基本金利は、年末に一三%となって然るべきと主張した。経済政策はもっと高度なものであるべきで、現行政策は拙劣だと批判した。
アレンカール副大統領は、通貨審議会の存在自体ではなく、審議会の十年一日とする単細胞的考え方が問題だと述べた。同審議会が金科玉条とする通貨制度の基本的考え方を見直し、新インフレ対策を立案すべきと要求した。
消費を押さえてインフレを抑制するという考え方が、否定的だと副大統領はみる。ブラジルの消費市場は成長過程にある。未成熟な段階で消費市場に抑制圧力を掛けるのは将来の消費者の芽まで摘み取り、消費意欲の萎縮に拍車を掛けるものと、副大統領は見解を述べた。