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サービスの原点は「心」=ブルー・トゥリー・ホテル=アオキ会長、BMIを開校=独創性がピンチをチャンスに=顧客一人一人を丁寧に扱う

9月15日(水)

 【スセッソ誌】ホテル・ブルー・トゥリー経営評議会のアオキ・チエコ会長(写真)は、業務管理とサービス業のポイントを指導するBMI(ビジネス・スクール)を開校し、新ビジネスの抱負を語った。発展の秘訣は企業秘密を隠すのではなく、公開して常識にすること。提供するサービスの質がビジネスの原点だという。
 次は同女史との一問一答。
 【オーナーが注意すべきポイントは】顧客は唯一人の大切な人として、特別扱いを希望している。サービスのパーソナル化が必要。たとえ団体客であっても、一人一人を丁重に取り扱ったことを分かってもらうことが必要だ。
 【パーソナル化の基準は】それは米国式の十把一からげとは反対の考え方で、共同生活の中で隣人の人格を尊重することがスムースな社会生活の原点という東洋思想に起因する。この思想が理解できないと日本の社会では生きていけない。この考えに立つと、全ての人は尊敬されることで平等。一歩進んで他人を尊敬することで先んじるなら、パーソナル化も自然にできる。
 【東洋思想による信念は】日本人には一つのことに真髄を極めることで、一生を終える人が多い。世界最良の鉛筆削りを作るために、生涯を捧げる。ブラジルも世界最高の水準を求めて、何物かに生涯を捧げてもよいではないか。ホテル業界に入ったとき、世界最高水準のホテルを追求した。
 【現実で例えるならば】一例だが、駆け出し時代に女性管理職はいなかった。ホテル視察のための女性の単独宿泊には偏見があった。それで付き添い社員を採用することで、ホテル修業の目標を達成した。
 【業界の模倣合戦は】サービス向上には必要なこと。ある顧客はサンパウロ市始発で飛行機に乗りブラジル中、走り回る。その度にトランクを詰めたり出したりで面倒だという。この時、新サービスを思いついた。
 チェック・アウトした時の状態を写真にとり、またチェック・インする時は前の状態を再現して顧客に部屋を提供する。顧客には各自、こだわりの部屋整理法がある。こだわりの状態に整理された部屋は、くつろげる。汚れた服は注文がなくても洗って置く。
 【自分の考えを完璧に伝えるには】それは、クローン人間を作るようなもの。しかし、他のホテルから転職した従業員が、前のホテルの習慣を継続するのは矯正できる。フロントはチェック・アウトした客のために自動車のドアを明け、手荷物を座席やトランクに乗せ見送る。客の乗った車が、門を曲がるまで頭を下げる。運転手はバックミラーで、ホテル従業員の所作を観察しているものだ。
 新しい従業員は自分の価値観に固執し、当初は指示に抵抗感を感じるらしい。教えても素直に従わず、異口同音に上司が教えなかったと言い訳をする。
 【サービス精神の原点は】新社員の訓練には「心」が先行することをよく叩き込む。例えば午後五時ごろ到着した客はドリンクでも飲んでもらえば、手続きに少し時間がかかっても気にしない。しかし、夜中近くに到着した客は疲れきっている。すぐに部屋へ案内し、手続きは翌朝行う。判断は「心」で行うことだ。
 【難問を解決した最近の経験は】アングラ・ドス・レイスのリゾート・ホテルを引き受けたとき、冬場は全く閑寂としていた。責任者は、同地方は雨が多く寒い日も多い、観光客は寒いのを嫌って来ないと泣き言を並べた。それでは、寒さを売り物にしよう。
 部屋に暖炉とサウナ風呂を設けマッサージをサービスする。デラックス・バーも建設した。アイデアはアングラの先駆けとなった。否定的意見は無用。利用すべきチャンスは常にある。ピンチをチャンスに変える独創性が、ビジネスを一転させるもの。