9月15日(水)
八年ぶりの首相来聖――。小泉純一郎首相は十四日午前、政府専用機でサンパウロに到着した。グアルーリョス国際空港から最初の視察地となるチエテ川流域環境改善事業の現場に直行した小泉首相は、アウキミン州知事の出迎えを受け、約二十分にわたって川岸で工事の進捗状況などの説明を受けた。いとこに当たる井料堅治さんと昼食をともにした後、午後はプラドーポリス市周辺を農業視察した後、グァタパラ移住地を予定外に「訪問」する一幕も見られた。
初めてのブラジル訪問となる小泉首相。同空港到着直後の午前十時四十分に、日伯両国旗をつけた軍警のオートバイ五台の先導を受け、チエテ川右岸の現場に到着した。
八月の会談以来となるアウキミン知事の出迎えに疲れを見せず笑顔で応えた小泉首相。一九九三年の円借款締結により始まった同河川流域の改善工事だけに、案内するアウキミン知事に「雨季の頃の水位は」「どれくらい洪水が発生していないのか」「全ての地域で浚渫事業をしているのか」などと次々に尋ねていた。
川のすぐ近くまで足を運び、約二十メートル幅を広げた工事現場を見た後、小泉首相はパウ・ブラジルの若木を記念植樹。土を一掛けした後、アウキミン知事に「一緒に掛けましょう」と声を掛け、二人でシャベルを手にしながら植樹した。また、「小泉純一郎」の名が記されたプラッカも除幕された。小泉首相が宿泊先に向かった後、アウキミン知事は記者団に対し「本当に明るくて活動的な人。改修工事について説明しているとき、小泉さんが目の前の浚渫(しゅんせつ)船に乗ろうとしたが警備上危険なので、護衛に止められた」と積極的な視察ぶりについて語った。
午後二時からは同知事やロドリゲス農相の同伴を受け、サンパウロ市から約三百五十キロ離れたプラドーポリス市を農業視察。サトウキビ畑やオレンジ畑、アルコール工場を見て回った。
また、数多くの日本人が農業で発展に貢献したグァタパラ移住地上空もヘリコプターで視察した後、予定を急遽変更して、現地に着陸。現地の日系人二百人と交流を図った。
十五日午前は開拓先没者慰霊碑へ献花や、日系社会の主要団体との懇談、文協記念大講堂での歓迎会などを経て、午後にはブラジリアに出発する。