9月15日(水)
グァタパラ移住地魅了した小泉旋風――。十四日サンパウロ入りした小泉首相は同日午後、ヘリコプターに乗りプラドーポリス市にあるサトウキビ畑などを視察。途中、当初は空中からの視察にとどめるはずだったグァタパラ移住地に予定を変更して、着陸。日の丸や鯉のぼりを用意して地上から熱烈な歓迎をみせた日系人ら約二百人と交流を図った。時間にしてわずか十分程度だったが、年配の一世は涙ながらに「ありがとうございました」と小泉首相の心憎い配慮に感激。移住地の日系人全員が、かつてない興奮に包まれた。
当初は、サンパウロ市から約三百五十キロ離れたプラドーポリス市を視察し、同移住地はヘリコプター越しに見る予定だった。
当初「空からでもいいから花束を投げて欲しい」とグァタパラ農事文化体育協会の川上淳会長が希望していた通り、午後三時過ぎ同移住地の空を通った三機のヘリコプターの一機が、花束を投下。同文協のグラウンドでは日本国旗や鯉のぼりを用意し「歓迎 小泉首相」と大きな文字を掲示していた日系人約二百人が待ち構えていたという。
旋回とともに花束を投下したヘリコプターが立ち去るものと思っていたが、うち一機がグラウンドに着陸。白水晋さん(64)は、「降りてくるはずが無いのにまさか」と色めきたったという。
ヘリコプターからは小泉首相と案内役のアウキミン知事、ロドリゲス農相が降りてきたため、グァタパラ移住地の日系人が一目散に首相のもとに集まった。ヘリコプターのプロペラが回る爆音の中、年配の一世らは「ありがとうございます」「よく来てくださった」と涙ながらに感激の言葉をかけると、同首相は次々に握手をして回り、中には首相の足もとに跪いて涙する一世の姿もあったという。わずか十分ほどの嬉しい「ハプニング」に同移住地の日系人は、皆感激して言葉にならない様子。白水さんは「テレビニュースで見ていたときは堅い人かと思ったが、こんなに親しみやすい人とは」とニッケイ新聞記者の取材に興奮気味に語った。
来伯初日から、小泉流パフォーマンスで日系社会に強烈な印象を残した小泉首相。まだまだ「何か」を期待できそうだ。