9月16日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙他十五日】大豆の播種期に入り、上院が十六日に審議するバイオ保全法成立のため大統領府は十四日、根回しに奔走した。政府の上程案は遺伝子組み換え(GM)作物の生産と販売の全面解禁、国家バイオ委員会(CTNBio)にGM作物についての公式見解書の発行権限を付与し、保健省と環境省から生産・販売許可の権限を取り上げる内容となっている。一方、南大河州の大豆生産者は、栽培許可の有無に関わらずGM大豆の強行播種の構えでいる。
上院で十六日表決予定のバイオ保全法を可決させ、政府はGM農産物の生産販売を一挙に解禁させる意気込みのようだ。連立与党の上議らは、同案通過に向けて最終調整を行った。十四日に公表された最終案の項目では環境省と保健省を封じ込め、GMの専門企業モンサントや農業生産者を擁護する内容となった。
法案上程者はスアスナ上議(PMDB)。GMリスクに関する判断は、科学技術省のCTNBioが見解を出す権限を有するとなっている。CTNBioの決定に対し環境省の拒否は認めない。下院が承認した内容では、CTNBioの権限は研究調査のみに限定され、生産販売許可の権限は環境省と保健省の管轄下にあった。
本会議に先立ち上院教育委員会では、環境、保健省から同権限が剥奪された。両省は、国家バイオ審議会(CNBS)へ上訴する構えだ。スアスナ案では、これまで来年度収穫に限り認められていた栽培を、無期限に許可すると変更されている。生産者は年毎の植え付け許可の申請を不要とした。
さらにスアスナ案は、GM種子の販売を公認する。これでモンサントは、日蔭から日の当たる場所へ出られることになる。これまでGM種子は、生産者の栽培用のみで市販用は禁じられていた。マリーナ・シウヴァ環境相は、同案が通過すると環境省が丸腰になると懸念している。
上院で可決されると同案は部分修正するため再度下院へ回される。バイオ保全法は上院の社会委、経済委、法制委で審理を終わり、流れとしてほぼ可決の見込み。ルーラ大統領やジルセウ官房長官は十三日、GM作物の解禁に関して暫定令は発令しないと表明した。
一方、南大河州農業連盟のスペロット会長は十四日、同州の大豆生産者は政府の許可有無に関わらずGM大豆を植え付けると言明した。同会長は大統領府に、レベロ政調会長を訪ねた。大統領のGM解禁暫定令中止発言は、GM黙認宣言の暗示だという。大豆栽培は南大河州だけではない。全国で大豆生産者がGM大豆を栽培したら、国会も省庁も違法生産者を取り締まるはずがないとみている。
みんなで渡ろう赤信号というのだ。政府の立場は理解できるが、政治家は生産者の立場を理解できないと同会長は語る。農業は政府の都合で営農するのではなく空模様で営農するから、政府の命令に従っていたら生産者は餓死すると述べた。
アルゼンチンからGM大豆を持ち込んだのは生産者で、政府が推奨したものではないと環境相は述べた。環境省は議会の最終判断を待って行動するという。