9月16日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】外務省貿易局は米国からの輸入品の関税引き上げを決定し、対象品目リストと新関税率を近々発表することを明らかにした。これまでは米国がブラジル製品に高い関税を課してきた。今回の外務省の決定は、ダンピング法による関税引き上げと追徴金に対する報復手段を講じるもの。
米国のダンピング法はこれまで幾度か国際紛争にまで発展してきたが、最終的には米国の大国主義に寄り切られる形となってきた。世界貿易機構(WTO)は発展途上国の苦情を受けて先頃、ダンピング税を課せられた国は、見返りに税を課した国からの輸入品に対する関税の引き上げを認める決定を下した。
ブラジルは過去に鉄鉱石、鉄鋼製品、紙パルプ、航空機等で米国のダンピング法に再三引っ掛かり、苦渋をなめてきた。しかし今年に入り経常収支の黒字を追い風に、報復措置を取ることを決定した。勿論ブラジルでは初の試み。WTOはこれまでの経緯から、ブラジル政府による対米向け関税引き上げは三百万ドル相当まで許容されるとの見解を示した。
外務省筋は、この措置は輸入を規制するものではなく、米国との貿易協定締結に向けた交渉の切り札として使用するとの態度を示している。一例がブラジル産エビの関税が七〇%に引き上げられたことで、国内の業者はすで三千万ドルに上る損害を被った。これを通常に引き戻す交渉の武器にしたい意向だ。
同措置は十四日の閣議で承認され、三カ月以内にWTOに通告される。ブラジルはこのほか、カナダにも同様の措置の権利を有するが、外務省では同措置を適用する意向は当面ないとしている。