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移民史料館を見学=開拓期偲び、オンサに驚嘆

9月16日(木)

 文協大講堂での歓迎会後、小泉純一郎首相は同ビルの日本移民史料館を視察、移民による原始林開拓などを偲んだ。農作業に励む日本人の写真にじっと見入ったり、オンサやスクリの剥製に関心を示すなど予定の十五分を五分から十分超えた。
 上原幸啓ブラジル日本文化協会会長、吉岡黎明同副会長、大井セリア館長、清水裕美ブラジルを知る会代表の四人が案内。七階の正面入り口で記帳後、同階と九階を見て回った。
 「どのコーナーも興味を持ってみられていました。ただのパフォーマンスではなく、気持ちが入っているのが伝わってきました」
 案内後取材に応じた清水代表は、まず移民史に対する小泉首相の関心の大きさに触れた。「勝ち組負け組抗争などについても言及しましたが、首相はもう知っているよというように、頷いていました」。
 ジャガイモ、ニンジン、キャベツといった近郊農業に力を発揮、ブラジル人の食卓を変えた日本人。農業分野での貢献を説明すると、移住者がリヤカーで人参を運んでいる写真の前で足を止め熟視していたという。
 蓄音機を見ると、「これ懐かしいなあ。僕も、子供の時に聞いていたよ」と目を細めた。移民史では女性の不足から結納金が高くつき、「娘三コント」と言われた時代があったことを聞くと、笑顔を見せた。オンサの剥製に「こんなのいるの?」と驚いていた。
 一九二〇年代~三〇年代の開拓小屋を再現したコーナーが、報道陣の撮影ポイントの一つになった。小泉首相は住居内に入ると、「ござが敷いてあるね」としみじみと話した。
 九階には、田中角栄元首相や中曽根康弘元首相などが来伯時に写した写真が飾られている。セラード開発など日伯の経済関係にまつわる資料もある。清水代表は、ブラジルが八〇年代にハイパーインフレに見舞われたことなどについて説明した。
 同代表は日系社会の現状についても説明。(一)後継者育成、(二)日本語普及、(三)デカセギを問題点に挙げた。これに対して、小泉首相は日系農業人口が減少していることを残念がったという。