ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 不正送金170億$の全容判明=米検察庁から資料入手=政財界の大物の名ずらり=円滑な国会運営に支障必至

不正送金170億$の全容判明=米検察庁から資料入手=政財界の大物の名ずらり=円滑な国会運営に支障必至

9月17日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】タッソ・ジェレサッチ上議(PSDB)は十五日、検察庁と旧パラナ銀CPI(議員調査委員会)が米検察庁から入手したデータファイルが、円滑な議会運営の支障となっていることを明らかにした。米MTB銀行を通じた五十三万四千回に及ぶ取引で百七十億ドルの資金が動いたことが一枚のCD―ROMに記録されている。同ファイルには、ブラジル政財界の著名人とその一族が名を連ねている。
 米検察庁が伯検察庁と旧パラナ銀CPIへ、米MTB銀行で九七年から〇三年までの間に政財界の著名人が取引した資金の動きの全容を記録したファイルを送付してきた。これは銀行取引を開示し、資産の移動を赤裸々に暴露したものといえる。
 同ファイルに一族を含めて名を連ねた政治家は、関係当局に尻尾を握られたといえそうだ。このような状況は、PPPs(官民合同プロジェクト)のようなブラジルの将来を決する重要法案の審議に支障を来すとされる。
 問題のCD―ROMは七百メガバイツの容量がある。そこには換算明細表から取引期日と金額、口座番号が記録され、ブラジルから為替業者を通じて不正送金された総額百七十億ドルに上る金が世界各地を遊泳した後終着地点に辿り着き、引き出された経緯が一目瞭然となっている。
 米MTB銀行の取引は、パラグアイやウルグアイ、その他タックス・ヘイブンの国々との国際決済取引で相殺された。一見しただけでも、マルフ氏を始めボトランチン関係者、公共工事に強い大手建設会社アウメイダ、労組の顔役チャプチャプ、フラガ前中銀総裁、フルラン産業開発相の弟、ジェレサッチ上議の親族と多種多彩。
 連邦警察と国税庁が分析したところ、同上議の親族十五人名義の送金だけで五十万ドルに上る。PTが全上議の尻尾を握っているというのがうなずける。疑惑解明が目的ではなく政治取引の道具が目的であったと、同上議は旧パラナ銀CPIの上程者メントール下議(PT)を非難した。
 また与党は小出しに情報漏洩を行い、野党議員を脅迫したとされる。同上議はPPPs法案が汚職の巣になると政府を糾弾していた。与党は同上議を野党牙城の首領とみなして政治的脅迫の集中攻撃を加えたと野党は抗議した。同上議は与党の議会対策手法を、政治危機の原因として指摘した。
 同ファイルに浮上した企業に、閉業したトランスブラジル航空、経営危機にあるヴァリグ航空とヴァスピ航空、百万ドルを送金したパルマラッチ、カーザ・バイア(百六十万ドル送金)がある。
 同上議は、メントール下議が指摘する親族の行為を一部始終監視できないと抗弁した。同ファイルに踊り出たジェレサッチ姓の人物は、同上議の遠縁に当たる。米国ではデータとして利用価値の少ないガセネタを政治的に利用して政敵の失脚を謀る策略だと、その卑劣さを同上議は糾弾した。