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インフレ抑制政策を転換=財政黒字で物価抑制へ=高金利政策に根強い批判=インフラ整備は優先

9月21日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】財務省と予算管理省は十八日、インフレ抑制を基本金利(SELIC)によらず財政収支で行う方針を明らかにした。基本金利の引き上げには根強い抵抗があり、財政収支案は多くの支持を受けた。上半期歳入の記録更新と下半期の税収予測から年末までに五十億レアルの財政的余裕が見込まれ、〇四年度はGDPの四・五五%の外債決済資金が調達できそうだ。しかし、〇五年度基礎収支の黒字引き上げは、政府内にも公共工事の投資削減を招くとして抵抗がある。
 インフレ対策に金利政策を一つ覚えのように使わなくても、他の方法があるはずだとしたアレンカール副大統領の意見も効き始めたらしい。ようやく動き出した経済活性化に水を差し兼ねない金利引き上げに代わり、財政政策でインフレ鎮静を図る考えだ。十五日の通貨審議会(COPOM)がSELIC引き上げを〇・二五%に止めたのは、政府内にも従来の政策に批判的な考えがあったことを明示している。
 九月末の財政投資計画までに新たな財政黒字目標の発表がないなら、政府は省庁経費や公共工事の投下資金を交付する必要がある。中央銀行がインフレ再来の兆候を警告しているとき、公共工事費の増額可否でパロッシ財務相は頭を痛めている。財務相は過去二週間、新インフレ対策として財政黒字の引き上げをルーラ大統領に報告した。
 予算管理省は、〇五年を「投資の年」と位置付けし、官民ともに機運の高まりを期待している。政府は国際通貨基金(IMF)に対して〇五年度の財政黒字引き上げを約し、インフラ整備資金を資産に計上する会計処理へ変更を容認してもらう考えだ。
 政府が〇四年に特別交付した予算は、経済活性化の基礎となるインフラ整備には回っていない。議会の要求で予算をばらまき、経済的に見返りのないものばかりだった。
 マンテガ予算管理相は官民合同投資が軌道に乗れば、インフレ抑圧にも有利という。需要圧力よりも供給能力が優るとみている。〇四年の努力の賜物である財政黒字は、〇五年にはインフラ整備に活用すべきことを提言した。〇六年までの経済活況を見込んでの対策とみられている。
 経済専門家らは、〇三年の不況は高金利だけが原因ではなく、財政黒字も経済の足を引っ張ったとみている。また専門家の間では、インフレ対策といえば為替政策と目標インフレ率、適切な経済政策からなる古典経済学が批判の的となっている。特に目標インフレ率には意見が多い。
 〇五年のインフレ目標を四%に設定したが、すでに原油と鉄鋼の高騰が外的要因としてそれを脅かしている。要は目標を守れるかではなく、いかにして目標レベルで持ちこたえるかだという。
 経済活性化を優先し基本金利引き上げを避けるため、政府の経費削減が第一の課題だとしている。続いてIGP―DI(総合物価指数)に基づいた公共サービスの価格統制と為替政策が、インフレ抑制の骨子とみている。