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貧困国援助に基金設立を=国連総会=ルーラ大統領が提案=仏、西が賛同、米国は反対

9月22日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】ニューヨークでの国連の年次総会に出席しているルーラ大統領は二十日、グローバル化をテーマとした演説に先立ち、フォーメ・ゼロ(飢餓撲滅)および貧困国への援助について提案を行った。 この草案はブラジルがイニシアティブをとり、チリ、フランス、スペインの賛同に基づき作成された。国際間で一定の税金を課して基金を設立するという提案だが、これに対してアメリカが反対を表明し、フランスやスペインがアメリカに反発して物議をかもした。反対の発言を行ったのはアメリカを代表して国連に出席したアン・ベネマン農務大臣だが、これを受けてアメリカのブッシュ大統領は、検討に時間を要するというのが発言の主旨だと弁明した上で、「この問題に真しに取り組みリーダーシップを発揮しているブラジルに敬意を表する」とコメントした。
 これに対しルーラ大統領は、十一月の大統領選挙を控えて、アメリカ側は現段階でうかつな発言を避けているとの見解を非公式ながら示し,来年には賛同を取り付けられると楽観視している。ブラジルの提案は、公害をひき起こすガス、国際金融取引および武器の売買取引に対して一定の税金や罰金を科して、これを基金として積み立てるというもの。取りあえず五百億ドルを目標として国連が管理するとし、国連のアナン事務総長の基本合意を得ていることを表明した。これに加えてルーラ大統領はブラジルではフォーメ・ゼロ運動、貧困家族手当の支給(サラリオ・ファミリアル)、小口農業融資の推進などの貧困対策を実施していると発言した。
 これに対してアメリカ代表のベネマン農務大臣は、「基金設立プランは非現実的で民主主義に反する」として反対を表明した。これを受けてフランスのシラク大統領は、世界百十カ国が賛同しているプランであり、G8(先進七カ国とロシア)がイニシアティブを取るべきもので、なかんずくアメリカが反対するのは心外だと強く反論した。